男性版の産休 取得が進む職場づくりを     2021年 6月12日


(山陽新聞2021年6月10日の記事より引用)

父親の育児や家事を促す改正育児・介護休業法などが今国会で成立した。
子どもの誕生直後に夫が休みを取りやすくする「出生時育児休業(男性版産休)」の新設などが柱となっている。
夫婦が協力して子育てできる環境を後押しする狙いがある。

男性版産休は女性の産後休業に合わせた特例で、子どもが生まれて8週間以内に計4週分に休みを取れる。
2回に分割もでき、申請期限は2週間前までと通常の育休の1ヵ月前より短く設定された。

労使の合意があれば、重要な会議への出席など限定的な就労も可能になる。
育児休業給付金や社会保険料の免除により、最大で賃金の実質8割が保障される。
来年10月に施行される見込みだ。
従来より柔軟で機動的に使える制度となったことを評価したい。

法改正により、出産直後の妻を夫が集中的にサポートすることを目指す。
この時期、女性はホルモンの影響や昼夜を問わない育児へのストレスが重なり、。産後うつを発症するリスクが高いと指摘されている。
育児の入り口となるタイミングから夫が家事などに携わることで、その後の子育てに対する意識を高める効果も期待される。


男性の育休の取得率は低迷が続く。
近年は上昇傾向にあるものの、2019年度は女性の83%に対して8%に満たない。
政府が掲げる25年に30%とする目標には程遠い。

背景には休みが取りにくい職場の雰囲気や無理解があるとされる。
厚生労働省の調査によると、育児関係の制度を利用しようとした男性の4人に1人が上司らの嫌がらせを受けたと回答した。
経験者の約4割は育休取得を諦めている。
連合の調査でも育休を取得できない理由に「仕事の代替要員がいない」「収入が減る」「取得できる雰囲気が職場にない」などが挙がる。

育休を取りやすい環境づくりに向け、改正法では従業員に子どもが生まれる場合、育休取得を働き掛ける義務を来年4月から企業に課す。
従来の努力義務から引き上げ、取得の意向を個別に確認するなど踏み込んだ対応を求めている。
会社からの「声掛け」があれば背中を押すことにもつながるはずだ。

制度の充実で育休取得のハードルが下がるとはいえ、積極的な活用の鍵を握るのは企業の対応だ。
ただ、規模や業種によって事情は異なる。

人員に余裕がない中小企業などは代替要員の確保さえ容易ではないだろう。
補充できても育休を取得した従業員と同様の仕事をこなせるとは限らず、場合によっては他の職場も含めてカバー体制を整える必要もある。
一部の大企業だけにとどまっては、少子化の歯止めにはなるまい。

実効性を高めるためには、企業の意識改革はもちろん、それを促す行政の啓発や支援策も欠かせない。
育休の取得が進む職場づくりに官民で取り組みたい。




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