近年、男性の生殖機能が低下していると言われており、不妊症の約35%が精子障害と報告されています。 男性の精子の状態を調べる検査には「精液検査」「フーナ-テスト」などがあります。
精液検査
男性不妊治療をする上で、非常に重要な検査です。
精液量、精子濃度、運動率、奇形率、白血球数などを調べます。
検査前、3~5日間の禁欲後、採精した精液を、室温でしばらく放置して液化させてから検査します。
自宅で採精したものを届けても大丈夫です。(詳細は各医療機関にお尋ねください)
WHOでは、正常な精液の状態を以下のように定めています。
1回に射精される精液の量 | 2ml以上 |
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精液濃度(1ml中の精子の数) | 2000万個以上 |
精子の運動率 | 動いている精子が50%以上、 そのうち高速でまっすぐ進む精子が25%以上 |
正常な形態の精子が占める率 | 30%以上 |
生存している精子が占める率 | 75%以上 |
白血球数(炎症があると増加) | 1mlに100万個未満 |
上記の規定から外れている場合は不妊原因になっていると考えます。
※精子濃度(1mlの精子数)が2000万個に満たない場合は乏精子症
※精液中に精子がまったく見当たらない場合は無精子症
※直線運動している精子が少ない場合は精子無力症
※正常な形態の精子が少ない場合は奇形精子症と診断されます。
ただし、精液の状態には、体調やストレスなどの影響が出やすいので、一度検査結果がよくなったからと言って、異常であると決める必要はありません。 間を空けて、2~3回は検査することになります。
フーナーテスト
フーナーテスト(性交後試験)とは、性交後の子宮頚管粘液の中にある精子の状態を見る検査です。 検査の12時間前くらいまでに性交渉をして、子宮頚管から粘液を採取して400倍視野の顕微鏡で調べます。粘液中に精子が確認できないと無精子症や抗精子抗体子宮頚管炎などが疑われることもあります。
フーナーテストの検査時期は、頚管粘液の状態の良い排卵直前に行われます。
フーナーテストで多数の運動性精子が確認できると、高い確率の妊娠率が期待できるようになります。
フーナーテストの判断基準
400倍視野あたりの運動精子数で判定
優 | 15個以上 |
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良 | 10~14個 |
可 | 5~9個 |
不良 | 4個以下 |
抗精子抗体
大部分が不動精子の場合、あるいは不動精子しか確認できない場合は、抗精子抗体の存在が疑われます。抗精子抗体とは、精子の運動能力を落とし停止させてしまう抗体です(免疫性不妊)。
フーナーテストの結果が不良だと、「抗精子抗体検査」が必要になる場合があります。
フーナーテストはほとんどの人は痛みを感じません。
フーナーテストでいい結果を出すには、3~5日間禁欲後、テストに挑みましょう。
また旦那さんの睡眠時間や食生活をバランスよく整えます。漢方やアミノ酸・ビタミン・ミネラルなども効果があるといわれています。
また、精液検査やフーナーテストの結果が悪くても、自然妊娠が期待できないわけではありません。(重度の乏精子症、無精子症などを除く)
人工授精を必要と判断される場合でも、その後に自然妊娠できる例が少なくありません。なぜなら男性の精液所見は大きく変化するからです。
精子は常に新しく作られています。ですから“カラダづくり”という観点から言えば、人の場合は、精子に育つ精原細胞から細胞分裂して成熟した精子になるまで72~74日、それから貯蔵場所まで移動するのに約14日かかります。要するに、今日、射精された精子は、3ヵ月かかってつくられたということです。
ですから、カラダづくりもすぐに効果があらわれるわけではなく、3ヵ月を最低ラインの目安として、継続する事がポイントになります。気を付けることはすぐに効果を期待しないことです。