コロナワクチン 妊婦も心配無用        2021年12月10日



りんくう総合医療センター 産科医 荻田 和秀(おぎた・かずひで)先生
産科医を描いたマンガ「コウノドリ」の主人公のモデル。
ドラマ版の取材協力も務める。

新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいます。
医療従事者や高齢者から始まった対象は、現在若年層にまで広がり、妊婦も接種できるようになりました。
悩む人も多いでしょうが、結論を言えば、僕は妊婦さんでも接種してほしいと思います。

海外では既に多くの妊婦がワクチン接種を受けています。
日本でも医療従事者の妊婦は接種済みです。
それらのデータが次々に公開され、母体や胎児に影響はみられないという見解が世界標準になりつつあります。
でもSNSなどを通じて不安をあおる情報がちまたにあふれています。
実際に僕の担当している妊婦さんにも「どうしたらよいか」と悩む人が少なからずいます。

不安を感じる理由の多くは、新型コロナウイルスワクチンがメッセンジャー(m)ワクチンだからです。
「そんなん聞いたことない」という人も多いでしょう。
従来のワクチンは、病原体の一部や毒性を弱めた病原体そのものを注射する生ワクチンや弱毒化ワクチンでした。
mRNAワクチンはこれらとは違い、新型コロナワクチンの殻の作り方を書いたレシピメモ(mRNA)を注射して体内に元々ある材料でコロナワクチンのたんぱく質を作らせ、それに反応する免疫を記憶させる戦略です。
「mRNAを注射したら、私自身の遺伝子が書き換えられませんか」と心配する声がありますが、そんなことは起きません。
いわゆる遺伝子改変は、体の設計図であるDNAを組み換えることです。
でもmRNAを体に入れても元のDNAは組み換わりません。
設計図(DNA)からレシピのメモ(mRNA)を書き写して原材料から完成品(たんぱく質)を作る流れは一方向で、逆には進みません。
これは分子生物学の中心的な原理(セントラルドグマ)なのです。

この技術が新型コロナウイルスの登場前から基礎研究が進められてきました。
短期間で開発できたのはその蓄積があったからです。
ただmRNAは極めて不安定なため、冷凍状態での保管、輸送が必要です。
そんなmRNAが長い時間体を巡って更に胎盤を通って赤ちゃんの遺伝子を改変することなどあり得ません(セントラルドグマすら理解していない、いいかげんな記事が妊婦さんを不安に陥られているのを見ると、非常に腹が立ちます)。
更に今用いられているワクチンで作られた抗体はお母さんだけでなく赤ちゃんも守ることが報告されています。

長期的な影響のデータはまだありませんが、mRNAは短時間で分解されるため、原理的にリスクは少ないと考えられます。
一方で、わずかながら妊婦さんはコロナ感染後の重症化率が高いと報告されています。
また感染中は出産しても、赤ちゃんに触れることができません。
接種のメリットはリスクを上回るというのが僕の意見です。
かかりつけの産婦人科に相談し、接種を認められたら、接種会場の問診医にそう伝えてください。
また防波堤になってもらうため家族にも接種してもらいましょう。





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