生殖医療40年・№3             2019年 7月 6日



(読売新聞 2019年3月20日の記事より引用)

●「治療卒業」歩みを公開

年間45万件近い体外受精が行われる政界有数の不妊治療大国・日本。
しかし、その結果として誕生する子どもは4万4000人ほど。
みながみなうまくいくわけではなく、治療からの卒業を選ぶ人もいる。

昨年12月、「私が不妊治療をやめたわけ」(イースト・プレス)というエッセー漫画が出版された。
作者は、茨城県内に住む海原こうめさん(ペンネーム)(42)。
5年に及んだ自らの不妊治療と卒業までの心模様をつづった漫画ブログをまとめた。
「ユーモアを忘れない姿勢に共感できる」などと、妊活中の女性に評判を呼んだ。

不妊治療を始めたのは2012年。
初めは経緯を文章で書いていた。
ブログの読者と各地の不妊治療クリニックの情報を交換し、ネット上の交流を楽しんだ。


海原さんが取り組んだのは主に顕微授精。
精子を針で卵子に差し込む方法だ。
うまく受精卵が育たなかったり、子宮に戻すことができても着床しなかったり、失敗の繰り返し。
それでも事実を淡々と、前向きさを意識して書いた。

4年が過ぎた16年頃から、批判的なコメントが気になり始めた。
「強がってるんじゃないの」「読んでいて痛々しい」

それをきっかけに、マンガブログに切り替えることにした。
「文字だけでは伝わりにくいのかもしれない」。
そう思ったからだ。
高校時代はイラストが好きで、よく描いた。
柔らかいタッチの絵のほうが、心の機微は表現しやすい。
タブレット型入力装置を使い、見よう見まねで描き始めた。

精液検査さえ嫌がっていた夫(40)が、だんだん協力的になってきたこと、妊娠のために禁酒したこと、そんな日々を振り返りながら描いた。
すると閲覧数は以前の30倍に当たる1日6万件に増えた。

翌17年3月、11回目の治療結果を千葉市内のクリニックに聞きに行った。
陰性(妊娠不成立)。
不妊治療を卒業しようと決めた。


「もうこれで、治療は終わりでいいと思うんだ」。
帰宅した夫に涙ながらに伝えると、そっと頭をなでてくれた。
久し振りに口にしたビールはとても苦かった。

それからは、これまで以上に夫婦の時間を大事にすることにした。
子どもを持つことを完全に諦めたわけではないけれど、不妊治療はもういい。
少し気持ちが楽になった。

世の中に妊活ブログはあふれている。
「高齢でもベビー誕生」などと成功例ばかり目に入る。
「何で私はダメなんだろう」と落ち込んだことは数知れない。
だから、うまくいかないこともあると伝えるのも、意味があると感じている。



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(人工授精・体外受精・顕微授精)
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