着床前検査・№2               2018年 7月31日



●年齢上がると効果疑問

「子宮に戻せる受精卵ではありませんでした」
東京都のB子さん(44)は、2016年7月、大谷レディスクリニック(神戸市)院長の大谷徹郎さんから着床前スクリーニング(PGS)の結果を聞き、肩を落とした。
残念な知らせは4回目だ。

PGSは、体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す技術だ。

40歳を過ぎ、卵巣の機能が低下していたB子さんは、採卵しても卵子は一つしか取れなかった。
それを夫の精子と体外受精させた受精卵を凍結。
PGSで検査したが、染色体に異常があった。
これより前に行った3回のPGSでも、計5個の受精卵を調べたが、いずれも染色体に異常は見つかり、子宮に戻せなかった。

B子さんは30歳で結婚。
夫婦共に正社員として忙しく働いてきた。
なかなか赤ちゃんに恵まれず、35歳で不妊治療を開始。
体外受精によって妊娠したこともあったが、38歳と41歳の時に計3回流産した。
スーパーで幸せそうな親子をみるとやるせない思いが募った。

B子さんは、42歳になった15年から2年間、PGSを行っているとインターネットで知った同クリニックに夜行バスで通い続けたが努力は実らなかった。


B子さんは今も不妊治療を続けている。
妊娠しやすい体にしようと、早寝早起きなど規則正しい生活を心がけている。
ただ、妊娠できなかった場合、海外での卵子提供も視野に入れている。
「もっと早くPGSをしていれば妊娠できたかもしれない。そう思うと、残念でなりません」と話した。

PGSを巡っては、流産の率を減少させたり、子宮に移植できた受精卵あたりの妊娠率を向上させたりするという報告が近年、欧米で相次いでいる。

「ただし、高齢女性への効果は疑問がある」と埼玉医科大学教授の石原理さんは指摘する。
女性は年齢が上がると、受精卵の中で染色体の異常が増えることから、B子さんのようにPGSで調べても、子宮に戻せる受精卵がない可能性が高いからだ。

染色体に異常のある受精卵の割合は35歳で約40%だが、40歳では70%近くに増え、42歳では80%近くになると海外データもある。

日本産科婦人科学会のまとめ(2015年)によると、体外受精による治療件数は40歳以上が全体の4割を占める。
石原さんは「PGSは、正常な受精卵を作り出すのではなく、数ある受精卵からそれを選ぶ技術。異常のない受精卵が少ない高齢の女性への効果は流産率の減少にとどまるのではないか」と指摘する。



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