着床前検査・№5               2018年 8月11日



●「命の選別」に様々な意見

体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す着床前スクリーニング(PGS)を社会に認めてもらおうと、不妊治療を経験した女性らが9月、患者会を結成した。

PGSは、流産を防いだり、子宮に移植できた受精痰あたりの妊娠率を高めたりすることが期待され、米英など40か国以上で認められている。
一方、日本では命の選別につながる懸念があるとして、日本産科婦人科学会が会合(指針)で禁じている。

約400人の患者会は、学会指針に反してPGSを続け、6月に3年間の会員資格停止処分を受けた、大谷レディスクリニック(神戸市)の大谷徹郎さんの元患者たちが多くを占める。

会結成の記者会見に集まった関係者の中には、熊本県に住む会社員A子さん(40)の姿もあった。
4回の流産の後、PGSで染色体に異常のなかった受精卵を子宮に戻して赤ちゃんを授かった。
A子さんは「私のように流産に苦しむ女性が減るよう、実施できる医療機関が全国に増えてほしい」と涙ながらに訴えた。


近年、PGSの解禁を求める声が高まった背景には、新型出生前検査(NIPT)が2013年4月から臨床研究として行われていることも関係している。

NIRTは、妊婦の血液で胎児に染色体の異常がないか、高い精度で調べる。
実施する病院で作る共同研究組織によると、今年3月までに4万4645人が受けており、胎児に染色体の異常があると診断されや94%は人工妊娠中絶を選んでいた。

不妊治療専門のIVF大阪クリニック院長の福田愛作さんは「中絶が女性に与えるダメージは心身共に大きい。中絶の伴うNIRTを認める一方、それが伴わないPGSを認めないのは矛盾する」と指摘する。

ただ、こうした生殖医療そのものへの批判もある。
先天性の神経難病の患者らでつくる「神経筋疾患ネットワーク」代表の見形信子さん(48)は「命の質を選択することは誰にも許されない。NIRTもPGSも障害社の存在を否定するものだ。命の価値に変わりはない」と話す。

同学会は2月、PGSの臨床研究を始めたと発表した。
流産率が下がり、妊娠率を高めるかどうかを検証する。
流産を2回以上するなどした100組の夫婦が対象で、来年度の早い時期にも、この研究を踏まえた本研究を始める。

同学会の倫理委員長で、徳島大教授の苛原稔さんは「研究結果を基に、倫理的な妥当性も踏まえ、日本でも実施できるようにするかどうかを検討したい」と話している。



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