チョコレートのう胞

チョコレートのう胞とは

子宮内膜症の一種で、卵巣内に子宮内膜組織が発症して、月経と同じような出血を起こし、卵巣内に血液が溜まり、のう胞が形成され、卵巣が大きく腫れてくる病気です。

溜まった血液が褐色なチョコレート色になっていることから、チョコレートのう腫・チョコレートのう胞と呼ばれています。
チョコレートのう胞は、大きくなると卵巣髄質内まで拡大し、時には卵巣のほぼ全体を占めるほどまでに肥大します。
肥大した卵巣は周囲の組織と癒着することも多く、不妊症や子宮外妊娠の原因になる場合もあります。

症状としては、月経痛・下腹部痛・腰痛などが月経前から連続し、ひどいと四六時中痛みが続きます。



薬剤師青木からのメッセージ

私の漢方見解を述べます。

チョコレートのう胞はひどい卵巣の汚れなのです。
卵巣はリンパ液で満たされているところに細い末梢血管が走っていますから、そこで病理が発生し邪毒となり固定したものです。

漢方的には、津液(しんえき)の流れが停滞し、のう胞という膿を作り・腐り出しているのです
漢方には「通ざれば痛む」とあるように、流れが悪くなったところでは痛みや腫れを生じ、病気が発生します。
これを難しく言うと、津液が滞り、痰飲(たんいん)を生じ・かつ抹消血液の滞りと結合し、「痰お」(たんお)が発生し、津液がドロドロに腐ってきているといえます。

チョコレートのように褐色にドロドロしてきているのです。
ちなみにチョコレートといっても、チョコレートを食べすぎてなる病気ではありません。
子宮内膜症が卵巣内で起こり、化膿してきていると思って下さい。
つまり子宮内膜症の一つなのです。
大きくなると卵巣の髄質内まで拡大し、時には卵巣を埋め尽くすほど肥大します。
卵巣の内膜組織は周囲の組織とくっついて癒着することもあり、そのため卵巣の機能障害や卵管が詰まったりして、不妊症や子宮外妊娠の原因になる場合もあります。

リンパ液である津液や抹消血液の流れを悪くする・滞りを起こす原因にはいろいろあります。
・ストレス等により気の流れが津液や血液に影響したもの
・冷飲や冷えやすい体質が影響したもの
・津液の汚れがメインのもの
・お血がメインの方

例えば気の流れが停滞すると「気滞(きたい)」となり二次的に血や津液の流れも悪くなります。
肝の疏泄(そせつ)といわれる気の流れが悪くなると「肝鬱(かんうつ)」をおこし、脾胃の機能に影響します。
のびのびと流れるべき「気」の流れが悪くなると、水分代謝も悪くなっていきます。

痰とお血が結互したものは「痰お互結」(たんおごけつ)と呼ばれます。
体の中で津液の流れは「肺・脾・腎」の3つの臓器を主として、「三焦さんしょう」と呼ばれるリンパ液の流れを介して運行されています。
ところが何らかの原因でこれらの臓器の機能低下により津液水分の流れが悪くなり(運化が悪くなる)、体の中で「邪」や「毒」といわれる病的な水分が発生します。
これは「痰飲」「水毒」「水飲」「湿邪」などと呼ばれるもので、ここに熱とお血が結びついてより取れにくい「痰お互結」が生じ、化膿する病理が発生し、卵巣のう腫というはれ物を作っていくのです。


■漢方治療方針■

少腹(しょうふく)と呼ばれる下腹に存在する卵巣は肝経と強く結びついています。
「肝の疏泄機能(そせつきのう)」はホルモンの安定と働きを司り、かつ「肝の蔵血機能(ぞうけつきのう)」は気や血の運行や月経の周期にも深くかかわっています。
これら肝経の失調は「つまり」や「滞り」を起こし、卵巣のう腫の発生に関係していきます。

チョコレートのう胞を漢方で治療する場合、上に書いた「痰お互結」という実邪と肝経の失調を合わせて考えていきます。
同時に「三焦」の流れの量・質・深さを、肺・脾・腎からの機能低下と機能不調を解消し、改善を考えます。
もちろん漢方は早い段階ほど有効で、続けることで再発も防いでいきます。
実際お店に相談に来られる方のほとんどが、けっこう進んだ状態だったり、手術経験がありすでに卵巣を一つ切除された方だったりします。
チョコレートのう胞を発生した体質はそのままなので、手術あとからでも体質を綺麗にしておくことは、再発を防ぐことにもなるのです。
手術を勧められ迷っているならぜひ漢方を始めてください。
手術するにしてもしないにしても、体質を綺麗にすることは体の他の部分への転移も防ぐのです。

漢方は根本から必ずいい方向へ導いてくれます。

そのあたりをしっかりとみて、皆さん体質に合わせてお世話させて頂いています。