漢方的に考える不妊症

原因はいくつかありますが、アオキ薬局では精子と卵子を育む子宮は、
「種と畑の関係」だと考えます。
まず、種は当然芽が出る力のある、栄養を含んだ種が必要です。
当然ですが、古くなった(老化した)種では、芽が出るかどうか難しいものです。
さらにその種が、ひからびて痩せていてもだめです。
例えばひまわりの種を例にとれば、しっかりと実の詰まった元気そうな種を皆さんも畑や花壇に植えると思います。
これを男性と女性に当てはめると、男性の精子は、栄養と若さをもった元気のいい(しっかりと進む)種でなければいけません。
さらに子宮を畑に例えると、温かい春の畑で、栄養のある肥えた土でないといけません。
冬の畑に種を植えても芽は出ません。痩せた畑では育ちません。

アオキ薬局では、これらを改善するために、漢方薬や栄養剤を使います。
春の代表の花「たんぽぽ」も使います。


もう少し詳しく漢方的に説明してみます。

不妊症3つの原因

1.腎ー先天の精・後天の精・腎虚・腎精

人間の生殖機能は、漢方の概念で腎にあたります。
腎とは今でいう腎臓ではなく、腎臓、膀胱を含む「腎経」です。
腎は「先天の精」ともいい、これはその人が生まれながらにもっている、生命力や子孫を残す力といえます。
この腎の機能が低下した状態は「腎虚(じんきょ)」と呼ばれ、不妊症につながります。
これは男女共に言えます。
腎虚の女性は黄体機能不全、卵巣機能不全などになり、男性の腎虚では精子欠乏症、精力減退、
精子の運動機能不足などとなります。

「後天の精」とは、食べ物を消化吸収する胃腸の働きのことです(脾胃ひい)。
胃腸の力は「気」を司ります。
たとえ「先天の精」に恵まれていても、食欲がなく食べられない、食べても栄養を充分に消化吸収する力がない、というのでは自分の身体を保つのに精一杯で種や畑にまで栄養が行き渡りません。
その結果、女性は冷え症、月経不順や排卵期が定まらなかったりします。
男性では精子運動率低下などにつながります。
漢方薬で腎や胃腸の働きを整え・活性化することが体質改善に一番の方法です。


2.お血(おけつ)・古血・血滞

お血とは、うっ滞している血液や古血のことをいいます。
最近の言葉をかりるとドロドロ血でしょうか。
また末梢での流れが悪いことも含みます。

「お血」がたまると子宮や卵巣の血流がスムーズにいかなくなり、停滞が起こります。
新鮮な血液が行き届かなくなると、排卵障害や生理不順・生理痛などを起こし、子宮筋腫や子宮内膜症などの原因にもなります。
生理の時「塊が多い」などはこれに当たります。
お血になる背景には体質的な要因もありますが、食生活・ストレス・冷え・肥満・長期のホルモン療法なども原因と考えられています。
「お血」のある人は、生理の血液が黒っぽい色であったり、レバー状の塊のなって出てくることがあります。
妊娠すると、お腹の赤ちゃんにたくさんの栄養をあげるために、お母さんのお腹・腰回りにはたくさんの血液が集まってきます。
新鮮で栄養豊富な血液が滞りなくめぐっている状態、つまり「お血」のない状態は妊娠してからも重要なことになってきます。


3.冷え・積冷

冷えは不妊症の大敵です。
下半身に冷えがあると、卵巣や子宮の血液循環がうまくいっていないという事ですから、栄養や酸素が十分に行き渡らず、子宮は冷たくなっているということです。
種を植える畑が、冬の状態と同じことです。

赤ちゃんは暖かくて居心地の良い子宮というベッドに育ちますから、冷えを治し春の状態にしていくことが大切です。
冷え症のある人と話していると「電気毛布をしているから大丈夫です」とか「靴下をはいて寝ています」とか言われることがあります。
もちろん防寒対策も大事なのですが、子宝のためには身体の芯から温めないと、根本解決になりません。
そして血液だけでなく身体の水分もあたたかく流れてこそ、子宮は春の畑へと変わるのです。


漢方薬はこのように身体の問題を解決していくことによって、妊娠へとつなげていきます。
身体作りをしないで西洋医学的療法(ホルモン療法・人工授精・体外受精・顕微授精)を試してみても、妊娠の可能性は低いままとも言えます。
漢方で妊娠された方は自然妊娠が多いですが、人工授精・体外受精などの確率もずっと上がってきます。