パパと産後ケア・№1             2019年 8月17日



(読売新聞 2019年4月24日の記事より引用)

●「理想の父」演じ 心病む

理想の父親像とのギャップに傷付き、一時パニック障害になった。
岐阜県可児市の会社員藤井正平さん(37)が、育児に悩み続けた6年間を振り返る。

2012年11月、長男と産院で対面した瞬間、この子を守るのが使命なのだと力が湧いた。
寛大に、時に厳しく家族を包み、子どもと向き合って生きたい。

ところが、自分の心身を削り取るような毎日が始まった。
長男は夜も1~2時間おきにぐずる。
妻(37)を起こさないようそっと抱き上げて、揺らしながら暗いキッチンを回った。
妻の授乳で我が子がすぐに落ち着くのを見て、逆に無力感が募った。
趣味の釣りなど屋外レジャーを控えると、生活は色あせていった。

1歳半を過ぎた長男は、何度諭しても「いや!」と首を横にふる。
思わずどなり声をあげた。
15年に次男が生まれてからは、自分が子どもを床にたたきつけて支配するイメージが頭をよぎり、必死に打ち消した。

長男が生まれて以来続いていた耳鳴りが、だんだんとひどくなる。
吐き気や不眠も悪化し、頻繁に心臓がドキドキした。


昨年2月、家族とファミリーレストランに寄った時のことだ。
子どものはしゃぐ声、注意する妻の声が耳に突き刺さり、隣の客の声や店員の目線が気になった。
頭がくらくらとして座っていられない。
家族を残し、逃げるように車に戻った。

3日後、心療内科のクリニックを受診すると、「パニック障害です」と告げられた。
強いストレスがかかった時に起きやすい。
病気が進行すると、うつ病やうつ状態になる恐れもある。

兵庫医療大学などが13年、生後4か月の子どもがいる807組の夫婦を対象にした調査では、父親の13.6%がうつ傾向にあった。
父親も育児のストレスで心身のバランスを崩すことが近年、注目され始めている。
だが、理想の父親を夢中で目指した藤井さんには、自分が心を病むなど思いもしないことだった。

初めて妻に弱音を吐いた。
無料通話アプリLINEで「僕は幸せかもしれないけど、楽しくはない」とメッセージを送った。
妻は優しかった。
数か月前から、上の空だった藤井さんが心配で仕方なかったという。
もう、かっこいい父親を演じなくていいーーそんな気持ちにたどり着くと、症状は軽くなっていった。


今月初め、真新しいランドセルを背負って小学校に通う長男(6)を、晴れ晴れとした気持ちで見送った。
背はもうすぐ自分の胸に届きそうだ。
子どもと一緒に成長していけばいいのだと藤井さんは思った。

出産や育児を巡るパパたちの体験を紹介する。



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