着床前検査・№1               2018年 7月27日



●受精卵の染色体調べる

「どうして私だけ…」
熊本県に住む会社員A子さん(40)は、おなかの赤ちゃんの発育状態を調べる妊婦健診で医師から4度目の流産を告げられると、心の中でそうつぶやいた。
妊娠がわかってから約3週間。
心拍も確認されていた。
医院のトイレに駆け込んで1人泣いた。
2015年6月のことだった。

A子さんは11年に34歳で結婚し、翌年に長女(5)を出産。
14年から1年半の間に流産を繰り返した。
原因を探ろうと、夫婦そろって血液検査を受けたが、問題は見つらない。
ただ、流産した赤ちゃんの組織を調べると、染色体に異常があった。
こうした異常は流産につながるという。
体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す着床前スクリーニング(PSG)という技術があることを地元の医師から聞いたのはその頃。
大谷レディスクリニック(神戸市)がこの技術取り入れていることをインターネットで知り、15年7月、新幹線で3時間以上かけて訪ねた。


「つらかったですね」。
院長の大谷徹郎さんから声をかけられた。
「これが最後のチャンス」と、PGSにかけることにした。

A子さんは同年9月、受精卵3個を凍結。
PGSによる検査で、唯一、染色体に異常がなかったものを翌月、子宮に戻した。
約10日後に妊娠を確認し、昨年7月に出産した。
体重2460gの元気な女の子だった。
A子さんは
「流産を繰り返していた頃は体も心もボロボロだった。PGSがなければ赤ちゃんはあきらめていた」
と話した。

晩産化で、不妊治療として体外受精を試みる人が増えている。
15年は42万件以上行われ、赤ちゃん全体の19人に1人にあたる5万1001人が体外受精で生まれた。
ただ、1回の体外受精で子どもが生まれる確率は35歳の18%に対し、40歳は9%と、年齢が上がると出産の可能性も低くなる。
染色体の数の異常が増えることが要因とされる。

PGSは、流産を防いだり、子宮に移植できた受精卵あたりの妊娠率を高めたりする可能性がある。
しかし、「命の選別」につながる懸念があるとして、日本産科婦人科学会は会告(指針)で禁じている。
指針に反する形で実施を公表しているのは同クリニックなど2施設に限られる。PGSを巡る現状を伝える。




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