着床前検査・№4               2018年 8月 9日



●障害者の幸せ 議論不足

ダウン症への理解を広げようと、ダウン症のある人もない人も一緒に歩いたり、ダンスなどのパフォーマンスを披露したりするイベント「バディウォーク東京」が11月、東京都新宿区で開かれた。

「一緒にみんなで歌って踊りましょう」。
この日の司会者で、ダウン症のある東京都の峰尾紗季さん(26)が来場者に語りかけると、拍手が起こった。
イベントを主催するNPO法人「アクセプションズ」(東京)によると、ダウン症のある人が司会を務めたのは6回目を迎えた今年が初めてだ。

峰尾さんは、10歳から始めたヒップホップダンスが大好き。
生まれつき弱いとされる筋肉をつけようというのが始めた理由だったが、2016年のリオパラリンピックの開会式で披露するまでに技術を高めた。
この日は司会のほか、得意のダンスで会場をわかせた。

平日は大手ファミリーレストランで準社員として働く。
時給は健常者と同じ水準。
週末はダンスを楽しむ。
「毎日、みんなと仲良く過ごせてうれしい」とほほえんだ。


体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す着床前スクリーニング(PGS)を巡っては、命の選別につながるとの批判がある。
染色体に異常のあるダウン症などの子が排除されることもありうるからだ。

「よくぞここまで育ってくれた」。
バディウォークの会場の隅で見守っていた父・佳秀さん(64)は目を細めた。
PGSについて感想を尋ねると、「どう考えたらいいか難しい」とした上で、「私たちのように、普通に幸せに暮らしている家族もたくさんいることも知ってほしい」と話した。

厚生労働省の研究班が昨年まとめたダウン症のある人への初の意識調査でも、9割以上が「毎日幸せ」と感じていることがわかっている。

ただし、ダウン症のある人は、知的な発達の遅れや心臓などの病気を伴うこともあり、就労などでハンデを負っているのも事実だ。

PGSについて、ダウン症の専門外来のある埼玉県立小児医療センター(さいたま市)の遺伝科部長を務める大橋博文さんは「技術の発展は止められない」としながらも、普及にあたっては慎重に進めることを求めている。
就学や就労、親亡き後の暮らしなど、障害をもって生まれた人が幸せに生きられる社会にするための議論が足りないと考えているためだ。

大橋さんは「そうした議論がないまま広がれば、『障害者は受精卵の段階で排除すべきだ』などの誤った風潮が広がる恐れがある」と指摘している。



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