(山陽新聞 2022年4月22日の記事より引用)
●下・欠かせぬ支え
「嗅覚が敏感になる」
「日中に突然あらがえない眠気に襲われる」。
出産を経験した女性たちのエピソードにただただ圧倒された。
妊婦の実情を知ろうとしたボク(26)の疑似体験3日目、子育て支援のNPO法人・まんなか(岡山市)の岡田直子代表理事(40)ら3人から話を聞いた。
印象的だったのは食事だ。
うどんしか喉を通らない、ファーストフードのポテトが無性に食べたくなるなど変化が大きかったという。
気持ち悪くて通勤バスを頻繁に途中下車したり、妊娠初期に出血して仕事を1ヵ月間休まざるを得なくなったりした経験には、妊娠が母胎に及ぼす影響を思い知らされた。
本音も打ち明けてくれた。
つわりが重いとき、不断から家事を一切しない夫に「何もせず、そっとしておいて」と告げたという。
下手に触られると余計な仕事が増えるだけだと諦めたらしい。
3人から「子育てパパ」のお墨付きうぃもらっている団体職員の西村洋己さん(38)=岡山市=からは「たとえ役に立たなかったとしても、できる限り妻と一緒に行動することが大切」と助言をもらった。
料理、洗濯、掃除、整理整頓…。
男性の自分が当たり前にできるようになっていることが将来、妊娠中の妻の支えにつながると感じた。
今回の疑似体験について社内の女性は好意的で
「男性が理解しようと頑張っていることがうれしい」と喜んでくれた。
たった1週間でも風呂掃除や車の運転は危なっかしく、助けてほしいと思う場面が多々あると知ることができたのは収穫だった。
男性の育休取得は10人に1.26人の割合と依然低い。
今月から改正育児・介護休業法が施行され、10月には「産後パパ育休(男性版産休)」が創設される。
しかし産前からの支援も必要ではないだろうか。
「妊娠中の妻の体調が悪いので、今日は産休取ります」ー。
近い将来、男性たちが堂々とそう言える社会であってほしいと強く思った。
もちろんボクはその一人でありたい。(小川耕平)
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