(読売新聞 2022年4月7日の記事より引用)
低体重で生まれた赤ちゃんに、別の母親が寄付した母乳(ドナーミルク)を提供する「母乳バンク」の新施設が今月、東京都内に開設された。
一般財団法人「日本財団母乳バンク」が運営する。
国内で稼働するのは計2施設。
関係者は「ドナーミルクが必要な赤ちゃんは年間約5000人。
多くの人に知ってほしい」と訴える。(矢子奈穂)
「ドナーミルクのおかげで娘の命が救われました」と、奈良県桜井市の村島伸子さん(37)が語る。
妊娠25週目だった2019年6月、胎盤がはがれ、同県立医大病院に救急搬送された。
医師から「生きて生まれるかわからない。生きたとしても数日かもしれない」と告げられた。
緊急手術で生まれた長女 陽華はるか ちゃん(2)は標準的な体重の約4分の1の584グラムだった。
村島さんの夫、武史さん(46)は医師から、陽華ちゃんにドナーミルクの提供を提案された。村島さんは意識がない状態。
武史さんは「娘のためになるなら」と提供を受けることを決めた。
対象は主に出生時の体重が1500グラム未満の赤ちゃん。
母親が母乳をあげられない場合に医療機関で与えられる。
母親が亡くなったり、抗がん剤治療中だったりする場合などがある。
小さな赤ちゃんは腸などが未熟で、粉ミルクはうまく消化できない。
出産してすぐ母乳をあげると、感染症や 壊死えし 性腸炎などのリスクを減らす効果があるという。
原則として経済的負担はない。
陽華ちゃんは生後6日間、ドナーミルクの提供を受け、4か月で退院。
現在は同年齢の子どもと同じぐらいに成長し、元気に保育園に通う。
村島さんは「妊娠中の突然のトラブルは誰にも起こり得る。
母乳バンクを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
母乳バンクの施設は、海外では21年現在、756か所ある。
国内では昨年度、一般社団法人「日本母乳バンク協会」が運営する施設から、360人以上の赤ちゃんにドナーミルクが提供されたという。
新施設の開設で、提供可能人数はこれまでの5倍の年約5100人になる見込みだ。
だが、提供できる医療機関は限られる。
各医療機関の倫理委員会などがドナーミルクの使用を認めた上で、母乳バンクの運営団体と契約する必要がある。
昨年度は約50の病院などにとどまった。
2か所の母乳バンク施設の代表で、昭和大学教授の水野克己さん(小児科)は「施設は東京にしかなく、災害時なども安定的な供給ができるようにしたい。
運営は寄付などで賄っており、多くの人に支援してほしい」と話す。
●血液検査受けドナー登録
母乳を寄付するドナーになるには、自分の子どもに与える分より多く母乳が出ていること、輸血や臓器移植を受けていないことなどが条件だ。
産後の1か月健診を受けた後、「日本財団母乳バンク」か「日本母乳バンク協会」のホームページから申し込む。
指定医療機関で血液検査などを受け、問題がなければドナー登録される。
自宅などで母乳を搾乳して定められた袋に入れ、冷凍便で母乳バンクに送る。
母乳は施設で低温殺菌処理した上で冷凍保管され、医療機関の要請に応じて施設から提供される。
検査できる医療機関は少なく、希望通りドナー登録できない場合もある。
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