(読売新聞 2023年2月24日の記事より引用)
「精子が少ない」。
妻と一緒に行った不妊治療クリニックでそう指摘された会社員のサトシさん(32)(仮名)は2020年11月、男性不妊の治療に力を入れている横浜市立大市民総合医療センターを受診した。
陰のうの超音波検査を受けた後、生殖医療センター部長の湯村 寧さん(泌尿器科医)から「精索静脈 瘤りゅう 」という病名を告げられた。
精索静脈瘤は、精巣内の静脈が、血液の逆流により拡張し、コブのように膨らんだ状態のこと。
精巣の温度が高くなるなどの理由で精子を作る機能が低下すると言われる。
「聞き慣れないかもしれませんが、男性不妊の原因の中では多い病気です」と説明された。
サトシさん夫妻は結婚してから2年ほど子どもができず、同年春から、まず妻が地元の不妊治療クリニックに通い始めた。
卵巣や子宮に問題は見られず、子宮に精子を注入する「人工授精」を2回試した。
でも、ダメだった。
半年が過ぎた頃、クリニックの医師から「ご主人も調べてみませんか」と勧められた。
「不妊治療は女性が受けると思っていた。当時は『自分も?』と意外でした」とサトシさんは振り返る。
だが実際には、不妊の原因の半数近くに男性が関わっている、と世界保健機関(WHO)も報告している。
サトシさんも精液の検査を受けると、精子の数が基準値より少ないことが判明。
そこで男性不妊に詳しい湯村さんを紹介された。
湯村さんらの研究チームは、15年度に患者約7300人を対象に男性不妊の要因を調査した。
「精子を作る機能の異常」が82%を占め、「勃起や射精の障害」は14%、「精子の通り道の詰まり」は4%だった。
精索静脈瘤も「精子を作る機能の異常」の一つで、全体の3割程度に上る。
治療では、脚の付け根を2~3センチ切り、顕微鏡を使って血液の逆流の原因になっている静脈を糸でしばる手術が行われる。
湯村さんから7割以上のケースで改善すると聞き、サトシさんは20年12月に手術を受けた。
その後、定期的に検査を受けると、精子の数は徐々に増えた。
体外受精の一種「顕微授精」にも挑戦した。
夫から精子、妻から卵子を採取した後、顕微鏡で見ながら卵子に精子を注入し、受精卵を子宮に戻す方法で、22年春に保険適用になった。
同年10月に行った受精卵移植で妊娠。
現在4か月目で経過は順調だ。
サトシさんは喜ぶ一方で「早くから自分も検査を受ければよかった」と話す。
湯村さんは「不妊治療は夫婦一緒に始めるのが理想的。男性の検査や治療を後回しにするうちに年齢が上がって妊娠しづらくなる場合もある」と指摘する。
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(人工授精・体外受精・顕微授精)
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