(読売新聞 2023年3月1日の記事より引用)
不妊治療をしても子どもを授かれるとは限らない。
神奈川県の会社員、ナオキさん(42)とクミコさん(48)夫妻(いずれも仮名)は2010年に結婚したが、なかなか妊娠に至らなかった。
14年に近くの不妊治療クリニックを受診すると、ナオキさんが、精巣で精子が正常に作られていない「非閉塞性無精子症」と診断された。
精巣から精子の回収を試みる手術を2回受けたが、うまくいかなかった。
16年から、第三者の精子を使った不妊治療を実施する別のクリニックに通った。
その結果、17年にクミコさんは妊娠した。
しかし、妊娠10か月目に赤ちゃんはおなかの中で亡くなった。
「なぜ私たちだけが……」。
夫婦は悲しみに暮れた。
その翌年、このクリニックのスタッフに思いもよらない提案を受けた。
「特別養子縁組で、子どもを迎えることもできますよ」
特別養子縁組は、経済的な事情などにより生みの親の元で暮らせない子どもと、子どもを育てたいと思う夫婦が、法的な親子関係を結ぶ制度だ。
戸籍上、育ての親の実子扱いになる。
ただ、当初2人は「ピンと来ていなかった」という。
ニュースなどで特別養子縁組という言葉を聞いたことはあったが、自分たちが子どもを迎える選択肢として考えたことはなかった。
気持ちが変化したのは、19年に、特別養子縁組で子どもを迎えた家族たちとの親睦会に参加してからだ。
10組以上の親子が駆けっこなどをして楽しそうに遊ぶ姿を見て、ナオキさんは「血はつながっていなくても、普通の家族と変わらないなあ」と感じた。
クリニックのスタッフに紹介してもらい、特別養子縁組の民間あっせん機関「アクロスジャパン」(東京)の代表理事・小川多鶴さんに連絡をとった。
20年夏に不妊治療に区切りをつけた夫婦は、21年夏に生後6日の男の子を養子に迎えた。
1歳8か月になった長男は、まだ言葉にならない言葉で一生懸命話しかけてくる。
それがうれしい。
「日々の生活で養子を意識することはありません。この子は紛れもなくわが子。治療中は暗いトンネルの中にとどまっている気分だったが、人生を前に進めることができた。もっと早く選択肢として考えてもよかった」
小川さんによると、不妊治療と並行して特別養子縁組を検討する夫婦が少しずつ増えている。
ただ、治療を続けるか悩んでいる間は養子縁組を勧めないようにしているそうだ。
「あくまでも子どものための福祉制度なので、自分たちの希望だけでなく、夫婦が『子どもの幸せのために迎えたい』と思えるようになることが最も重要です」と説明している。
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