(読売新聞 2022年12月16日の記事より引用)
●自己チェック…高まる意識
公に語ることがタブー視されてきた男性不妊。理解を広げ、身近な問題に感じるきっかけになるツールが増え、若い世代を中心に意識の変化が起きている。
不妊の原因がないかを調べる精液検査や受診のハードルが高いと感じる男性に対し、精子の状態を自己チェックできる使い捨てキットはその一つだ。
TENGAヘルスケア(東京)が2016年に発売した「テンガメンズルーペ」(1650円)は、専用ルーペに少量の精液をのせ、スマートフォンのカメラ機能を使って精子の数や動きを観察する。
同社がネット上に公開する標準的な状態の精子の動画と見比べられ、動きなどを解析して数値化するアプリもある。
購入層は20~30代が中心で、約2割はパートナーに利用を勧める女性という。
「男性が自分の精子の力を知ることができれば、妊活に対する意識が高まり、パートナーと不妊に向き合うきっかけになるはず」と取締役の佐藤雅信さん(40)が企画。
「売れないのでは」という社員の予想に反し、発売後は「不妊の原因が自分にあるのかもしれないとわかり、ショックを受けたがスッキリした」という感想や、「夫が積極的に妊活に取り組んでくれるようになった」という女性の声も届いている。
1980年代から女性の妊娠や排卵日の検査薬を販売するロート製薬(大阪市)も昨年、「ドゥーテスト運動精子濃度テストキット」(5500円)を発売した。
高精度に測定できる顕微鏡型レンズをスマホにセットして観察。
濃度と運動率をアプリで解析し、独自に算出した測定結果を示す。
パッケージにはパートナーと協力して「ふたり妊活」を進めるための小冊子を同封する。
精子の状態は体調や生活習慣で変動することや、妊活を経験した自社の男性社員の声を掲載。
受診先の探し方もアドバイスしている。
開発担当者は「男性の気持ちに寄り添い、自分の体を知る意識を高めてもらうためのメッセージ」と説明する。
●心情つづった漫画
不妊に悩む男性が主人公の漫画も登場。
不安や孤独感をわかりやすく伝えている。
妊娠を焦る妻の苦悩に気づき、妊活を開始した30代前半の主人公・マサカズ。
ある日、無精子症と診断される――。
2020年12月からネット上で連載中の「不妊男子」(小学館)は不妊治療の基礎知識を紹介しながら、夫婦の歩み寄りや認識のズレをリアルに描く。
昨年8月に単行本1巻が出版された。
著者の 玄黄武(げんこうぶ)さんは取材先のクリニックで精液検査を体験。
個室に入った際の緊張感や、外の廊下を通る人の足音が気になる心境も作中に盛り込んだ。
読者層は20代後半~30代後半が中心という。
「不妊治療はデリケートな問題で、それぞれの夫婦にそれぞれの答えがある。一つずつ課題を乗り越えていく主人公の姿を通じて、読者の心を動かしたい」と話す。
●社会のサポート
若年層の意識の高まりがうかがえるが、厚生労働省が昨年公表した調査によれば、不妊治療の経験がない男女1166人の73・6%は「不妊治療に関心・興味がない」と回答している。
不妊治療に詳しい産婦人科医で慶応大名誉教授の吉村泰典さんは「晩婚・晩産化が進み、子どもを望んだ段階で時間の余裕がなく、追いつめられたカップルが増えている」と危惧し、こう訴える。
「男女が若い時期から結婚や出産について考えることが難しい社会の状況も大きな課題だ。妊活はカップルだけの問題ではなく、社会がどのようにサポートしていくのかも問われている」
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