(読売新聞 2023年12月27日の記事より引用)
●自己負担 保険適用で軽く
国の少子化対策の一環で、人工授精や体外受精などの不妊治療が2022年4月から公的医療保険の対象になりました。
ただ、治療の対象年齢や回数に上限があるうえ、保険適用外の治療を加えると、全額が自己負担になるケースもあるなど、仕組みは複雑です。
ポイントや注意点をまとめました。(阿部明霞)
●早めの取り組み可能に
「公的な保険がきく治療については、負担は相当軽くなりました」。
現在、不妊治療に取り組んでいる都内在住の女性(36)は話す。
女性は、保険適用前の21年に生まれた第1子の時も不妊治療を2年ほど受けたが、1回の受診で30万円以上かかることもあり、「金額欄は怖くて見られなかった」と振り返る。
一方、保険適用後の22年9~11月に、第2子を授かるために受けた不妊治療には保険が適用されたため、自己負担(3割)は計約11万円で済んだという。
不妊治療の保険適用については従来、不妊の原因を確かめる検査や、特定の疾患に該当する場合の治療などに限られていた。
一方、保険適用範囲が拡大された22年度からは、「原因がわからない場合の不妊」も対象となった。
保険が適用される治療は主に、精液を子宮に注入する人工授精、精子と卵子を体外で受精させて子宮に移植する体外受精、体外で精子を注射針などで直接卵子に注入する顕微授精――など。
厚生労働省の資料などによると、体外受精の治療の自己負担(3割)は採卵から子宮に受精卵を戻すまでの一連の治療1回で15万~20万円ほどという。
妊娠の可能性は、若いほど高いとされる。
体外受精で子ども3人を産んだファイナンシャルプランナーの宮野真弓さん(44)は、「保険の適用拡大で、家計負担のハードルが下がり、有効な治療に早期から取り組めるようになった意味は大きい」と説明する。
●公的保険 年齢や回数に条件…助成制度のある企業も
保険適用の対象といっても、条件があるので注意が必要だ。
その一つが年齢制限。
体外受精と顕微授精を受けられるのは、治療を開始する時点で、女性の年齢が43歳未満の場合に限られる。
受精卵の移植回数の上限もある。
治療開始時に40歳未満なら1子につき移植は6回で、40歳以上43歳未満なら3回だ。
上限回数を超えた分は、全額自費となる。
また、公的医療保険制度では、保険適用されない薬剤や治療法などを組み合わせた場合、自由診療とみなされる。
すると、本来なら保険適用になる部分も合わせて全額自費になる。
ただ、「先進医療」と認められた一部の保険適用外の治療については、保険適用の治療と組み合わせやすい。
この場合、先進医療部分は全額自費だが、保険適用部分の自己負担は3割で済む。
複雑な仕組みなので、担当医師によく確認することが必要だ。
不妊治療中は、自分の体調や体質に合わせて漢方薬を服用することがある。
治療が長引けば、自宅と病院を往復する交通費もかさむ。
一部の企業は治療費の助成制度を設けている。
会社員は、治療と仕事の両立を支援する社内制度を確認しておきたい。
宮野さんは不妊治療を受けるための資金について、「保険適用の範囲は広がったが、使用する薬剤の量などで費用の変動幅は大きい。まずは50万~100万円程度を目安に、自由にできる資金を準備しておきたい」と助言する。
●民間保険で給付金も…自費治療の例は多く
公的医療保険が適用されたとはいえ、不妊治療には依然として多くの費用が必要だ。負担軽減の仕組みについても知っておきたい。
まず確認してほしいのが、加入している民間の医療保険の契約内容だ。
保険診療の不妊治療は、給付金の対象になる可能性がある。
宮野さんは、「給付金を受け取れる条件をよく理解しておきたい。
遡って請求できる場合もある」と話す。
保険診療の不妊治療は、1か月の自己負担を一定額に抑える高額療養費制度の対象だ。
例えば、年収の目安が370万~770万円の場合、窓口負担が月30万円の治療でも、実際の自己負担は8万7430円で済む。
不妊治療を行う人を支援するため、自治体が独自に助成制度を設けていることもある。
一方、希望した治療が保険適用外だったことなどから、全額自費で治療を受ける人も少なくない。
不妊治療中の人や治療を終えた人を支援するNPO法人「 Fineファイン 」の調査(2022年)によると、こうした人は4人に1人にのぼる。
同法人代表の野曽原 誉枝やすえ さん(55)は「何歳でパートナーを持ち、子どもを望むのか、不妊治療が必要な場合はどうするのかなどを含めた人生設計について、若いうちから考えを巡らすことも大切です」と話す。
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