(山陽新聞 2018年5月19日の記事より引用)
●妊婦は流行地避けて
沖縄、愛知県などを中心に、はしかが広がっている。
国立感染症研究所などによると、国内の今年の患者数は150人を超え、県内でいつ流行してもおかしくない状況だ。
特に妊娠中の女性は、かかると重症化したり流産したりする可能性が高まるとされ、日本産婦人科医会は今年、流行地を避けるなど注意を呼び掛けた。
はしかの特徴をはじめ、妊娠中や希望している女性、周囲の人に必要な対策について、川崎医科大産婦人科の下屋浩一郎教授に聞いた。
●抗体ない世代
1人は平均12~18人にうつすといわれるほど感染力が強く、通常のマスクや手洗いでは防ぎにくい。
10~12日程度の潜伏期間を経て高熱や発疹が出る。
2回のワクチン接種で予防できるが、国内では2005年まで定期接種が1回だったため、20代後半以上の多くは抗体が不十分。
一方40代以上の大半は過去の流行期に罹患したことで抗体を持っている。
平均的な出産年齢に当たる30歳前半では、ほとんどの人に抗体がないとみられる。
●死亡率6倍
妊娠中にかかると、それ以外の人と比べて肺炎になる確率が2~3倍、死亡率は6倍に高まる。
さらに3~4割が流産・早産するといわれる。
妊娠中はワクチン接種ができないため、抗体がない場合は流行地に行かないこと。
人混みも極力避けた方がいい。
感染した場合、献血から抗体を集めた血液製剤を投与するといった対症療法しかできない。
●水痘も重症化
母子手帳などの記録からワクチン接種が1回だと分かったり、抗体があるか不安だったりする場合は、かかりつけ医で検査を受ける。
抗体がなければワクチンを接種する。
安全のため接種から2ヵ月は妊娠を控えた方がいい。
妊娠中は水痘も重症化しやすく、風疹は感染すると生まれた子が難聴や心疾患になる懸念がある。
流行にかかわらず妊娠希望者はいずれの抗体も有無を確認し、不十分な場合はワクチンを接種してほしい。
●電話で指示
妊婦への感染源とならないようパートナーもワクチンの接種回数や抗体を確認しておく方が安心だろう。
特に海外や国内の流行地へ出張に行く機会がある場合は要注意。
もし妻らが、ほしかに感染している可能性がある場合、すぐに病院に連れて行かないでもらいたい。
他の妊婦らに感染を広げてしまうため、病院に電話をして指示を受けてほしい。
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