不育症 血栓防ぐ薬併用 無事出産       2021年10月15日


(読売新聞2021年10月8日の記事より引用)

東京都の会社員女性(42)は、長男(9)を産んだ後、流産を繰り返す中で、血栓症などが起こりやすくなる「抗リン脂質抗体症候群」と診断された。

流産や死産を繰り返す「不育症」の代表的な原因の一つ。
血流が滞って胎児に栄養が届かなくなったり、胎児の形成異常を引き起こしたりすることなどから、流産や死産のリスクが高まるとされる。
血中にこの抗体が確認され、妊娠10週未満の流産を3回繰り返した場合などに同症候群と診断される。

女性に抗体が見つかったのは4年前。
2回目の流産(妊娠6週目)の後、不育症の専門クリニックで血液検査を受けて判明した。
次の妊娠から、血栓を防ぐ薬「アスピリン」を飲み始めた。
しかし、3回目(5週目)、4回目(9週目)と流産が続いた。

次の妊娠では、別の医療機関に通い、アスピリンだけでなく、自分で注射できる薬「ヘパリン」も併用することを勧められた。

同症候群と診断された妊婦がアスピリンとヘパリンを併用した場合の出産率は71%で、アスピリン単独の42%より高いとする研究報告もあり、国内外で標準的な治療になっている。

女性は「まだできることがあるとわかって、希望をつなげられた」。

ヘパリンは、太ももやおしりなどに、12時間ごとに自分で注射する。
打ち方は看護師に教えてもらった。
あざができたが、「これでおなかの赤ちゃんが助かるなら」という一心だった。


毎週、超音波検査をしてもらい、祈るような気持ちで診察台に上った。
検査の度に、過去の流産の際の心臓が止まっていた画像が脳裏によみがえるので、医師が「赤ちゃんは元気ですよ」と言うまで、怖くて画面を見られなかった。

でも、諦めようとは思わなかった。
「私には兄がいて親に話せないことも話せる関係だから、長男にも、きょうだいを作ってあげたい」とずっと考えてきた。

出産が近づくとアスピリン、ヘパリンはやめた。
出産時に血が止まりにくくなることを避けるためだ。

今年7月、国立成育医療研究センター(東京)で、女の子を無事に出産できた。

「4回の流産を経験したこの6年間、自分を責め続けた。でも、この子を産めて、会えなかった4人に会えたような気がする」

同センターの周産期・母性診療センター診療部長、小澤伸晃さんは
「不育症の治療はまだ手探りの部分も多いが、抗リン脂質抗体症候群に関しては、アスピリンとヘパリンの併用治療が確立している。適切な治療につなげるためにも、流産や死産を繰り返したら検査を受けてほしい」と語る。




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