「不育症」治療に尽力              2022年 8月27日


(山陽新聞 2022年8月22日の記事より引用)

●岡山大大学院・中塚教授

妊娠しても流産、死産を繰り返す「不育症」を専門とする岡山大大学院の中塚幹也教授が外来を担当する福山市宝町の松岡病院に、広島県内各地から子どもを授かりたいと願う女性が受診に訪れる。
国内で毎年4万人前後の不育症患者が新たに見つかると推計されるが、日本不育症学会の認定を受けた医師は中四国、九州で中塚教授ただ1人。
専門医不足が課題となっている。


●中四国、九州唯一の認定医 岡山、福山で専門外来

「医療機関を転々として松岡病院にたどり着きました」。
6度の流産を経験した県内在住の妊婦(27)は今、妊娠14週目。
流産しやすい12週までの時期を超えた。

松岡病院を受診し、胎盤に血の塊ができやすい「抗リン脂質抗体症候群」があると初めて分かった。
血液を固まりにくくするアスピリンの服用、ヘパリンを自己注射する治療を受ける。
この日は定期的な受診日で、中塚教授から超音波検査でモニター画面に映ったおなかの赤ちゃんが順調に育っていると伝えられ、表情に安堵感がにじんだ。

●全国に27人

日本不育症学会によると、不育症の検査や診断、治療に習熟した認定医は全国に27人と少ない理由に、中塚教授は治療がマニュアル通りにいかない難しさを挙げる。

一口に抗リン脂質抗体と言っても、さまざまな種類の抗体がある上、新しく分かってきた抗体もあり、検査方法も日進月歩。
中塚教授は「医師が常に知識をアップデートしていかないと、最適な治療法を患者に提示できず、しなくて済んだはずの流産を繰り返すことになる」。

不育症のリスク因子は、他にも先天的な子宮の形の異常、夫婦の染色体異常などさまざまある。
リスク因子が重複することも多く、治療法は患者ごとに千差万別だ。
さらに繰り返す流産、死産で不安や抗うつを抱える患者の気持ちに寄り添った対応に伴う負担の重さが、なり手を少なくする要因となっている。


●育成が急務

妊娠を経験した人のうち、流産を2回以上経験した人は5.0%とみられる。
国内の不育症患者数は30万~50万人とする試算もある。
妊娠の高年齢化が進むと、流産率はさらに上昇していくとされる。
ただ患者の85%は、適切に検査、治療を受ければ出産できるといわれるだけに、専門医の育成が急務となっている。

日本医科大病院(東京都)で6千人超の不育症患者を診療し、現在は東京で不育症専門クリニックを開く竹下俊行院長は「現行の診療報酬制度では、不育症の診断、治療は採算性が悪く、専門医はなかなか増えない。そのため正しい治療を受けていない人は多い」と指摘。
中塚教授は「不育症の概念が日本で広まってきた約30年前、若手だった認定医の多くも年齢を重ねた。若い専門医が増え、患者が身近にセカンドオピニオンを求めやすい医療体制になってほしい」と話す。





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