不妊の保険適用 治療への理解を広げたい     2022年 4月 1日


(山陽新聞 2022年3月28日の記事より引用)

4月から不妊治療への公的医療保険の適用範囲が広がり、新たに体外受精など高額なものも対象となる。
経済的負担が軽くなるため、治療を希望するカップルにとっては朗報だ。

これまで保険適用は不妊原因を調べる検査など一部に限られ、大半は自由診療だった。
患者の状態に合わせてさまざまな治療を試すことから、その内容や費用は医療機関ごとにばらばらで、透明性が高いとも言えなかった。

保険適用になると、同じ治療法ならどの医療機関でも一律価格で受けられる。
対象に加わるのは国が有効性や安全性を認めた人工授精、体外受精、細い針で精子を卵子に入れる顕微授精など。
患者の自己負担は原則、治療費全体の3割で済み、1ヵ月の負担額に上限を設ける高額療養費制度も使えるようになる。

例えば代表的な治療法の一つ体外受精は従来、治療1回につき検査などを含めトータルで平均50万円かかると言われてきた。
今後は保険と高額医療療養費制度によって大幅な減額が見込めるという。

ただ、体外受精と顕微授精に関しては保険適用と引き換えに、費用の一部を助成してきた国の制度が廃止される。
かえって自己負担が増えるとの懸念の声に対しては丁寧な説明が必要だ。
自治体によって独自の支援制度があることも周知したい。


課題もある。
不妊治療は医療機関ごとの技術差が大きいとされ、患者団体が詳しい治療実績の公開を求めている。
診療報酬が患者の窓口負担や保険料、税金で賄われる以上、治療の効果を高め、国民に広く理解を得られるよう国や日本産婦人科学会が情報公開に取り組むべきだ。

統計上では女性の年齢は高くなるとい妊娠率が下がることから、体外受精などの保険の適用が受けられるのは、治療開始時点で女性の年齢が43歳未満といった条件もある。
啓発とともに年齢制限の妥当性の検証も必要だろう。

このたびの保険適用拡大は菅義偉善政権が目玉政策に掲げ、急ピッチで動いた。
患者本位の医療になっているか。
実施後も不断に見直していくことが欠かせない。

不妊治療については金銭的な負担と並び、かねて指摘されてきたのが精神的な負担である。
周囲の理解不足や仕事との両立の難しさに苦しむ人は少なくない。
自治体や企業には休みを柔軟に取れるようにするなど支援を強め、不安なく治療できる環境を整えてもらいたい。

お金や時間を費やしても子どもを授かれるとは限らないため、心のケアも重要だ。
カウンセラーら患者に寄り添う人材の育成も急務となる。

日本では夫婦約5.5組に1組が不妊治療を経験しており、新生児の14人に1人が体外受精で生まれるまで増えた。
治療への理解を広げ、子どもを産み、育てやすい社会へ近づく一手としたい。





☆病院では精子と卵子の出会いの距離を確実に近づけてくれます。
(人工授精・体外受精・顕微授精)
☆アオキ薬局では精子と卵子の質を上げて元気にしていきます!