(山陽新聞2020年9月24日の記事より引用)
●出産望む声に応えるには
子どもを望みながら、なかなかかなわないカップルにとっては朗報だろう。
少子化対策の目玉として菅義偉首相が掲げる「不妊治療の保険適用拡大」が実現する見通しとなった。
2022年度の診療報酬改定に合わせて実施する考えで、詳細が決まるまでの当面の既存の助成金制度を21年度から増額し、負担の軽減を図る。
厚生労働省によると近年は晩婚化が進み、5.5組に1組が不妊治療を受けるとされる。
不妊と心配したことがある夫婦は3組に1組を超え、2人目を持つために治療をする世帯も増えている。
日本産婦人科学会のまとめでは、体外受精によって17年に誕生した子どもは過去最多の5万6千人余りで、この年生まれたおよそ16人に1人。
出産に至らなかったケースを含め治療件数も44万8千件余りで最多だった。
治療にはさまざまなな種類があり、保険診療が認められるのは原因検査など一部に限られる。
そのほかは自由診療で全額自己負担となり、特に高度な生殖医療を用いる体外受精や顕微授精は1回の費用が平均約20万~70万円という。
総額で数百万かかることも珍しくなく、金銭的理由で治療を断念・延期する人が半数以上に上るとの支援団体の調査結果もある。
男女とも年齢が上がるほど治療を受けても妊娠・出産できる可能性は低くなり、健康への影響などリスクは高まる傾向がある。
今後はどの治療法に保険を適用するかや、治療回数の上限、年齢制限の線引きについて丁寧な議論が欠かせない。
現行制度では国は体外受精などを受ける際の費用を補助しているが、治療開始時の妻の年齢や夫婦合算の所得に条件があり、支援実績は約14万件(17年度)にとどまる。
厚労省は来年度の増額に合わせて所得制限の緩和などを行う方針だ。
大切なのは経済的支援にとどまらず、子どもを望む夫婦が安心して治療を受けられる環境を整えることである。
特に働く女性の場合は、頻繁な通院や精神的負担などから治療と仕事の両立が大きな壁となっている。
これを機に職場での理解を深めたり、柔軟な働き方を認めたりするなど、社会全体で支える動きにつなげたい。
治療を続けても子どもを授かるとは限らず、うつ症状や「やめどき」に悩む人もいる。
相談体制の強化や医療機関を選ぶ判断材料となる成功率の開示なども積極的に進めるべきだ。
治療費負担の軽減については、今年5月にまとめられた第4次少子化社会対策大綱に既に盛り込まれている。
20年以上前の調査を根拠にした現行の助成金制度も実態を反映していないとかねて指摘があり、厚労省が調査に乗り出している。
検討を重ね、必要とする夫婦に必要な支援が届く届く制度設計にしてもらいたい。
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