(山陽新聞 2022年3月13日の記事より引用)
●こども家庭庁創設に向けて
子どもたちが生きやすく、親が子育てしやすい社会の実現を掲げる「こども家庭庁」が、来年4月に創設される方向だ。
子どもの貧困や国の支援不足など、山積みの課題を巡る議論が続く。
「産まなければつらい目に遭わなかったのに、なんで産んだの?」。
「母親に自由時間がないのは『自業自得』なのか…」(「プレジデントオンライン」2月7日)で小児科専門医の森戸やすみが憂慮したのは、会員制交流サイト(SNS)などで目立つ「子育て自己責任論」だ。
子どもがいても、いなくても、誰もが病気になったり経済的な困難を抱えたりすることはあり、「それを全部自己責任とするのはおかしい」と指摘。
こうした「ひどい言葉」が広がりつつある背景には「子供に優しくない政治と貧困」があり、「国が子育てを軽視しているありようが、子育てに厳しい風潮を作っている」と読み解く。
「子育て罰」という言葉に着目したのは、日本大教授の末冨芳の「子育て世帯に優しい国へ」(「潮」3月号)。
育児中は賃金が低く貧困化しやすいことを指す外来の概念だが、日本では「親、とくに母親に育児やケアの責任を押し付け、父親の育児参加を許さず、教育費の責任も親だけに負わせてきた」冷たい社会のありようを表していると再定義してみせた。
特に教育費負担の重さは親を苦しめるだけでなく、若い世代が結婚や出産をためらう要因にもなっていると分析。
国際競争の激化に伴い、欧米に加えて多くの新興国が「国を挙げた教育支援策」に注力しており、「教育は親任せ、子育て世帯への支援にも冷ややか」な日本は世界の潮流に逆行していると批判する。
優秀な人材の育成は、国の根幹を支えるものだと末冨。
教育への公的な支援は「贅沢でもバラマキでも」なく「現状を放置して損をするのは、私たち国民に他ならない」と注意を促す。
「中央公論」3月号は、将来に希望を持てなくなっている若年層に光を当てる特集「格差と出自の研究」を掲載。
東京都立大教授の阿部彩は参院議員の森雅子との対談「貧困の連鎖を断ち切る 子供も支援こそが日本再興の鍵」で、高止まりを続ける「子どもの貧困率」の現状を報告した上で、貧しい家庭で育った子どもが成人後も貧しい家庭を築くような事態をなくすには「国や社会からの強い働きかけ」が必要だと訴えた。
これに対して元少子化対策担当相の森は「貧困の連鎖を断ち切る一番の道は、やはり教育だ」「低迷した日本の再興の鍵は子どもの貧困対策にある」と強調。
経済的に恵まれない家庭の子どもを支援し、貧困の連鎖を断ち切ることは結果的に、世代を超えて社会全体に「大きなリターンをもたらしてくれる」と述べた。
自己責任が叫ばれる一方で格差が固定され、出自が人生を左右するような社会で、子どもは何を思うのか。
大人が本気で考え、行動する時だろう。
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