無排卵とは
「月経は毎月来ているから妊娠できる」と思っている人も多いようですが、中には「無排卵月経」といって排卵がないのに月経のような出血だけが起こっていることがあります。
排卵があるかどうかを知るためには、まず基礎体温を付けることが基本です。
排卵前は体温が低めの低温期、排卵後は体温が高めの高温期になります。
つまり体温が安定せず、低温と高温の差が不明瞭でいつが排卵かわからないような場合、排卵が起こっていない=無排卵の可能性があります。
無排卵の原因は、先天性卵巣発育不全・早期卵巣機能不全などの卵巣病変によるもの、月経不順や無月経、全身性疾患によるものなどと様々です。
基礎体温表の特徴は、一相性で体温差が生じず平坦なラインを描きます。
薬剤師青木からのメッセージ
無排卵月経では、排卵のある月とない月があります。
年齢が高くなると無排卵になる月が増えてきますが、3か月に一回でも排卵が起こっているのであれば、漢方で排卵月を増やすことが良いでしょう。
体温変化をみているとある程度わかりますので、あとは排卵検査薬とリズムに合わせてタイミングを取っていくのがいいでしょう。
漢方的に無排卵月経の原因は
①卵胞が十分育たない
②大元の主席卵胞のの発育が悪い
③卵胞は育っているが、卵胞膜が厚く破れない・ホルモンのためか排卵しないまま黄体化
④病気が原因(先天性卵巣発育不全・多のう胞卵巣・卵巣機能低下症・子宮内膜症・卵巣嚢腫・チョコレートのう胞など)
基礎体温を付けると二層になりにくく、平坦の事が多いです。
生理周期は長めで遅れがち・生理がない月もある・月経量が多い。
漢方の古典には「子宮は脾と腎に隷属する」とあり、とくに「腎陽虚」「腎陰虚」が重なると体質的に無排卵になりやすいようです。
漢方の「腎」は骨・生殖器・成長・精・体温につながっていて、生まれつきここが弱いという方もいます。
五臓六腑のバランスから、「腎」の場所がダウンしていると全体の機能も低く安定しにくくなります。そこで「腎陽虚」や「腎陰虚」を治すために、補い・潤し、機能が持ち上がるようにしていきます。
「腎陽不足」「腎陰不足」にタツノオトシゴや鹿のつのやオットセイなどの動物生薬とヤマイモ・ジオウ・ゲンジンなどの植物生薬を合わせて用いるようにします。
さらに「脾虚」の漢方を合わせることでよりシャープな効果が出るようになります。
「腎陽」は「命門の火」(めいもんのひ)とも呼ばれ、人体の熱=体温熱の源泉であり生理機能の原動力です。
「腎陰」は体の潤いの根源であり、若く体が柔らかい人ほど「腎陰」はしっかりしているといえるでしょう。
それゆえ40才を過ぎて、急に身体が硬くなってきた人は、「腎陰」という潤いが減ってきたためと考えていいでしょう。
そんな時ちょっと漢方薬で補ってやると、案外簡単に「柔らかさ」を取り戻せるものです。
一年のうちで一番症状が出やすいのは、「腎陰」の傷みが表に出てくる「秋」です。
古典の「温病条弁(うんびょうじょうべん)」にその理由が書かれています。
漢方薬は、病院のホルモン剤などとの併用も問題ありませんので、安心して併用して、より早い・いい結果を求めるのが良いでしょう。