●県産婦人科医会アンケート
精神科や心療内科を掲げる県内の医療機関のうち、産後うつなどメンタルヘルスに不調を来たし妊産婦を診療してもよいと回答したのは全約170施設のうち19施設にとどまることが、県産婦人科医会のアンケート結果で分かった。
胎児や母乳への薬の影響や産後のホルモンバランスの繁華といった妊産婦特有の難しさなどが診療に消極的な要因になっているとみられる。
●胎児、母乳へ薬影響懸念
結果によると、19施設のほとんどは岡山、倉敷市にあり、県北の施設はゼロ。
施設の規模別では、診療所(19床以下)が11、病院(20床以上)が8だった。
「診療は可能だが、あまり受けたくない」と本音を漏らす施設もあった。
過去3年間で実際に妊産婦を診療したことがあるとしたのは約10施設しかない上、ほとんどの施設は治療をした人が数人だった。
産後うつは10%程度、統合失調症などその他の精神疾患も妊産婦の1、2%がかかるとされており、メンタルヘルスに問題を抱える妊産婦の多くは専門の医療機関を受診できていないことがうかがえる。
ただし、地域で中核的役割を果たす病院の中には回答がなかったところが複数あり、実際に妊産婦を診療しているところはもう少し多いとみられるという。
診療できるとの回答が少ない理由として、県産婦人科医会は、処方する薬によっては胎児の発育や母乳に影響を与えかねないことや、産後うつはホルモンバランスの変化によって症状が変わりやすいことを挙げる。
さらに、子どもへの虐待が隠れていることもあり、診療に対する医療スタッフの精神的負担が大きいことなどが考えられるという。
同医会は近く、今回の調査で妊産婦を診療できると回答した医療機関のリストを作成。
妊産婦がどこへ行けば治療を受けられるかが分かるよう、妊婦健診や分娩を行う医療機関に置いてもらう方針だ。
調査を担当した中塚幹也・岡山大大学院教授(県産婦人科医会理事)は「情報を提供し早めの受診につなげ、母子が精神的に追い込まれるような事態を食い止めたい」と話している。
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