(読売新聞 2022年3月25日の記事より引用)
「ご結婚おめでとうございます!」。
昨年6月、山口県防府市の松本紗和さん(26)は、市役所に婚姻届を提出した際、お祝いの言葉とともに1枚のチラシを渡された。
チラシには、「葉酸サプリメントを配布します!」と書かれていた。
葉酸の効果について、「妊娠前後に摂取すると、胎児の脳や脊髄に起きる障害のリスク低減につながる」と説明している。
「そんなに大事なものなんだ。将来、子どもがほしいし、赤ちゃんのためになるなら、ありがたいな」と、松本さんは思った。
葉酸は、ほうれん草などの緑黄色野菜や大豆、レバーなどに含まれるビタミンの一種で、胎児の脳や脊髄が作られる過程で重要な役割を果たすとされる。
厚生労働省は、妊娠の1か月以上前から妊娠3か月までの間、通常の食事(推奨量0・24ミリ・グラム)に加え、サプリメントで1日0・4ミリ・グラム摂取することを勧めている。
防府市では2020年度から、妊娠を希望する女性に葉酸サプリメントの無料配布を始めた。
効果を高めるには、妊娠前から摂取することが重要なため、婚姻届の提出時に啓発のチラシを配ることにしたという。
女性1人に150日分が配られる。
松本さんは「妊娠する前に、葉酸について詳しく知ることができてよかった」と笑顔を見せる。
国が、妊娠前後の葉酸摂取を勧めるように自治体に通知したのは2000年のことだ。
これを受け、母子手帳でも、葉酸摂取の重要性について記載されるようになった。
だが、日本産婦人科医会などによると、通知から20年以上経過するが、脳や脊髄の先天性障害の発生割合は、出産1万件あたり5件前後のままで減少していない。
防府市の啓発事業にも関わっている山口県立総合医療センター(防府市)の総合周産期母子医療センター長、佐世正勝さんは「胎児の脊髄などが作られる時期は妊娠2か月頃。
多くの人が妊娠に気づく頃には、既に胎児の体は作られ始めており、その後に葉酸を摂取し始めるのでは遅いのです」と指摘する。
佐世さんらが15年に山口県内の妊婦約3900人に行った調査では、97%が葉酸という言葉を、73%が葉酸の効果についても知っていた。
だが、実際に妊娠前から摂取していた人は15%にとどまった。
佐世さんは「葉酸の重要性は知られてきたが、『妊娠前から摂取する必要がある』という情報が行き届いていない。防府市のような地道な普及啓発活動が全国に広がってほしい」と話している。
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