(読売新聞 2022年3月29日の記事より引用)
国が妊産婦向けに作った食生活指針の改定に携わった国立健康・栄養研究所の栄養疫学・食育研究部長、瀧本秀美さんに聞いた。
――昨年改定された指針のポイントは。
「やせ(BMI=18・5未満)の若い女性が増えていることを踏まえ、妊娠中の体重増加量の目安を、従来より引き上げました。やせの場合、従来は9~12キロでしたが、新指針では『12~15キロ』になりました。胎児に十分な栄養を与えるためには、より体重を増やす必要があるからです。日本産科婦人科学会の見解を参考にしています」
「妊娠前からの体作りも重要なので、指針の名称も『妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針』と改めました」
――やせていると、どんな問題があるのでしょうか。
「女性のやせすぎは、月経不順など本人の健康を損ねるだけではなく、出生時の体重が2500グラム未満の『低出生体重児』を産むリスクを高めます。低出生体重児は、成人後に糖尿病などの生活習慣病になりやすいことが、国内外の研究で報告されています」
――どのように栄養をとることが望ましいですか。
「ご飯などの『主食』、肉や魚、大豆製品などの『主菜』、野菜などの『副菜』を組み合わせるよう心がけてください。指針は栄養摂取のポイントを示すものですが、具体的な分量などは『妊産婦のための食事バランスガイド』が参考になります。指針と共に厚生労働省のホームページなどで閲覧できます」
――でも、なかなか難しいこともありますよね。
「つわりなどでつらい時は、無理せず食べられるものを少量ずつ食べればよいです。食事の準備を負担に感じたら、総菜や宅配を活用する方法もあります。どんなものを食べたらよいか迷う時は、主治医や保健センターなどの栄養士に相談してもよいでしょう」
――妊娠前からの食生活が大事な理由は。
「妊娠は食生活を見直す機会といわれますが、急に変えることが難しい人もいます。若い時からの食習慣が大事になります。骨密度は20歳前後がピークなので、10歳代のうちに十分な栄養摂取と適度な運動で骨量を増やし、将来の妊娠・出産に備えたいものです」
「葉酸も、胎児の脳や脊髄に起きる障害のリスクを下げるためには、妊娠の1か月以上前から摂取する必要があります」
――もしも赤ちゃんが低体重で生まれた時は。
「海外の研究では、低体重で生まれても、成人後に標準体形を維持すれば、生活習慣病のリスクを下げられることがわかってきました。だから、極端に心配することはありません。子どもの時に、無理にたくさん食べさせ、大きくしようと思わなくて大丈夫。バランスのよい食生活や適度な運動を心がけてください」
(塩島祐子)
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