黄体化未破裂卵胞

黄体化未破裂卵胞(LUF)とは

基礎体温で体温は上昇しているにも関わらず、実際は成熟した卵胞が排出されずに卵胞内に残っていることがあります。
このような状態を黄体未破裂卵胞(LUF)といいます。

原因は不明な点も多いのですが、ひとつには下垂体から分泌される「LH」や「FSH」に異常が起こり、排卵期に上昇するLHホルモンの上昇不足(LHサージが不十分)が起きるという事が考えられています。
また、子宮内膜症・PCOS・骨盤内感染症・骨盤内手術経験者などの人に多くみられ、黄体機能不全とも深く関連しています。

黄体化未破裂卵胞は自覚症状はほとんどなく、排卵前後に超音波検査にて卵胞を観察して始めて見つかる場合が多いです。
その発症頻度は不妊患者の13~18%程度といわれています。


基礎体温表の特徴は、
二相性を示し正常に排卵したかのように高温が上昇し、一瞬正常なラインに見えますが、高温相が極端に短いのが特徴です。



薬剤師青木からのメッセージ

脳下垂体から分泌されるLHやFSHに問題がでたり、異常が起こり、黄体機能不全を起こしている場合は、脳の疲れ=脳中枢の疲れは寝不足や強いストレスなどが影響していることが多いものです。
黄体ホルモンであるプロゲステロンが上昇せず、黄体化未破裂卵胞となってしまうわけです。

LHやFSHに問題がないのに排卵が行われないのは、出てくるべき卵胞が弱いのか・別の問題があるのか、またはその破れるべき膜が強すぎるのか・などを考えます。

漢方的には次のようなことが考察されます。

①腎虚タイプ
 このタイプの方は「冷え症」の方が多く、しかも足先や手先が冷えるというのではなく、腰やおしりとか体感の一部が冷えるというタイプが多いのです。
 漢方では「腎陽(じんよう)」は体を温め動く原動力であり、ホルモンを動かし視床下部から脳下垂体から卵巣への一連のホルモンの流れを司り、体の動きと共に若さにもつながっています。
 「腎陽虚」の方はこの経絡場が弱くなり、卵自体が弱くなります。
 つまり卵胞が育ちにくく排卵や高温期への上りがスムーズにいかず、排卵を促してもいい黄体が出来にくかったり、排卵できないこともあり、高温が持続できないこともあります。
 
 ここに「脾虚」が絡むと、高温期の途中で下がったり、ジグザグになったり、最後まで高温期が維持できず終わりの方で下がってしまうこともあります。
 冷えに当たると、生理痛・腰痛・疲れやすい・寒がりなどの症状も出やすくなります。
 多のう胞性卵巣症候群・排卵障害・黄体機能不全なども起きやすくなります。
 下半身を冷やさないように、冷たいものを取り過ぎないように気を付けましょう。
 サラダは生は控え、薬味をしっかり摂るようにしましょう。
 特に生姜はいいです。

②お血タイプ
 「お血」とは、末梢での血流が悪く、停滞した古い血の事を言いますが、粘膜でも 起こります。
 そのため内膜・粘膜の病理の原因になっています。
 子宮内膜症などの癒着や化膿する症状の体質原因になっています。
 「お血」は生理痛や生理の時塊が出てきたり、内膜症などの場合、長引くと癒着を 起こしてしまったり、腎虚と合わせて排卵障害・卵巣の周囲の膜が硬くなる・それ らの機能を落としてしまう可能性があります。
 基礎体温では生理になっても低温にきれいに下がらなかったり、低温期に高い日が 出てきたり、黄体化未破裂卵胞では、高温期が短くなりがちになります。
 
 「お血」体質はほかに生理痛がひどい・生理の時に塊が出る・肩こり・頭痛・手足 の冷え・顔色がくすんだ感じになる・寝つきが悪いなどのいろいろな症状を伴いま す。
 婦人科系では、子宮内膜症・チョコレート膿腫・子宮筋腫・ポリープなど出やすく なります。
 
 睡眠不足・疲れを貯める・冷やし過ぎる・お菓子など脂肪や通分の摂り過ぎは良く ありません。
 特に高脂血症になると血流はさらに悪くなります。
 動物タンパクを控え、野菜・海藻・大豆を多めの食事を心がけましょう。
 そして適度な運動をするとさらにいいのです。

 漢方薬は「駆瘀血薬」を使います。桂枝茯苓丸・通導散・温経湯などが代表ですが、気の巡りを良くしてやるのがポイントになります。