卵管障害について

卵管障害による不妊

卵巣から子宮へと卵を運ぶ細い管の部分を卵管といいます。
卵管は子宮の左右に1つずつあり、長さは約10cm、直径は狭い所では1mm程度しかありません。

卵管は卵子の補足、卵子と精子の輸送、精子の受精能獲得の促進、受精卵の子宮内への輸送など、妊娠成立にとって非常に重要な役目を果たしています。
この大事な卵管部分に腫れや炎症が起きると、精子や受精卵が通れなくなり、卵管性不妊の原因となります。

卵管障害は不妊症の主要原因のひとつで、不妊症の約30%を占めると言われています。
また卵管障害の問題は、“精子や受精卵が移動できず、受精、着床が出来にくい”ということだけではなく、受精卵が卵管に着床してしまう「子宮外妊娠」を引き起こす可能性が高いことです。



卵管障害の原因について

卵管障害の主な原因としては、卵管の閉鎖や卵管周囲の癒着などがあります。
例えば感染症や子宮内膜症、虫垂破裂、骨盤内の手術などで卵管が閉塞してしまうと、卵子は卵巣から子宮へと移動できなくなり、妊娠することが難しくなります。

■卵管炎
 性交渉などを通じて女性の膣や子宮内に侵入した病原微生物が、卵管の中や周囲に 広がり炎症を起こすと、卵管が細くなり、閉塞したり繊毛を失ったりします。これ が卵管炎です。
 病原微生物として多いのは、クラミジアです。
 ・クラミジア感染症
 クラミジアによる感染が子宮頚管や卵管内その周囲に炎症を起こし、症状が進むと 卵管の癒着や閉塞を招きます。
 近年特に増えているのがこのクラミジア感染症による卵管性不妊です。子宮頚管炎 から子宮内膜炎、卵管炎と徐々に被害が広がっていきます。

■卵管留水腫
 卵管に細菌などが感染して炎症を起こすと、卵管内に分泌物や膿がたまって腫れあ がります。この状態を卵管留膿症といいます。
 さらに炎症が進むと、卵管の先の卵管采が閉塞し、中の分泌物や膿が吸収されその 後に水がたまります。これを卵管留水腫といいます。主にクラミジア感染症が原因 です。

■卵管閉鎖による不妊
 卵管は2本ありますので、どちらか1本でも通っていれば自然妊娠は期待できます 。
 しかし卵管が2本とも閉鎖してしまっている場合は、卵巣から卵が移動できないた め、自然妊娠はかなり難しくなってきます。


 

卵管障害の漢方医学的解釈

まず1つは炎症によるものですが、漢方では細菌など外部からの邪による炎症と、内部からの熱邪による炎症があります。
「邪の侵入する所正気虚す」と古典にあり、体がバテていたり、飲食の不摂生などによって外邪(ウイルス・細菌)の侵入を許し、感染炎を起こしてしまいます。
処方はその人その人の「虚」の原因に対する補気薬と、邪を排除する解毒薬を併用します。
内部からの熱邪は「虚熱」による炎症と、気滞血瘀による炎症がほとんどです。
虚熱を消す補陰薬と、気の流れと血の流れを良くする活血、疏泄の漢方を使います。

次に水びたしの状態の湿毒があります。これには「冷湿」と「温湿」の2つがあります。
冷湿は当然冷たい水なので、お腹の中も冷える自覚があります。
温湿は熱を帯びた水で、ベタベタとして腫物を作りやすい病理を持っています。
どちらも基本は水なので、濡れたタオルを乾かすように、まずはしっぼていらない水を抜いて乾すという事を考えます。
冷湿はそれほど濁っていないので、しぼって乾かせば、子宮内膜も卵管もいい状態へ持っていけます。
ところが温湿はベタベタと汚れているので、しっかりときれいにする必要があります。
そこに使う生薬が腕の差になるのです。
まず洗って、しっぼて、乾すという段階で考えます。どちらにしても漢方はかなり早く良い結果を出します。

最後に気の詰まりによる「気滞」があります。
ストレスが溜まったり、疲れが溜まったり、イライラしやすい人に多く、生理周期も不順になりがちです。そのため安定して28日前後で来る人と違い、分かりやすいのが特徴です。
生理前にお腹が張ったり、胸が張ったりするのが何日も続く人の卵管閉塞は、この気滞を除くことで卵管の通りが良くなります。また、生理痛が強いのも特徴です。
漢方は、出来れば動物生薬(水姪、シャ虫、海蛇、こうもりなど)を上手く使うとシャープな結果が得られます。
ここも経験と腕ではっきり差が出ます。実は無排卵も同じやり方で効果があります。
病院にはない体質改善のやり方なので、なかなか分かりにくいと思いますが、1回飲んでもらえれば15分ではっきり変化を実感して頂けます。