●妊娠糖尿病 定期的に検査
(読売新聞 2017年11月21日の記事より引用)
「今回は血糖値がやや高めでした。やせ型なので食事で体重を減らすより、運動で基礎代謝を高めていきましょう」
今年10月中旬、大阪母子医療センター(大阪府和泉市)の診察室。
パソコン画面に表示された検査結果を基に、母性内科主任部長の和栗雅子さんから、同府堺市のパティシエ中村充保さん(38)は指導を受けた。
中村さんは2011年、妊娠糖尿病と診断された。
妊娠により一時的に血糖値が高くなる状態だ。
妊娠が進むと、胎盤は分泌するホルモンの影響で血糖値を下げるホルモン、インスリンの効きが悪くなる。
インスリンの分泌が元々少なかったり、効きづらかったりする体質の人は血糖値が高くなってしまう。
妊娠初期と中期の検査で、10人に1人が妊娠糖尿病と診断される。
放置すると胎児が大きくなりすぎるなどの合併症につながる。
中村さんは、食事回数や食べ方を見直して血糖値を抑え、同年11月、無事に長女(6)を出産した。
妊娠糖尿病になると、ならなかった女性より、将来、本当の糖尿病になりやすい。
世界の20編の研究を分析した報告では、そのリスクは7.4倍だった。
日本産科婦人科学会の診療方針では、妊娠糖尿病になった女性には産後6~12週の間に1回、血糖値の検査を推奨している。
ただ、授乳でエネルギー消費が盛んな時期は血糖値が抑えられる。
和栗さんは「産後の初検査で正常でも、1年後など離乳が進んだタイミングで再検査が必要」と指摘する。
同センターでは海外の指針や独自の調査を踏まえ、全員に産後1年での検査を勧める。
1年後に正常でも、さらに隔年など徐々に間隔を延ばして検査を続ける。
中村さんは年1回、定期的に検査を受けている。
血糖値は、正常型と糖尿病予備軍とされる「境界型」の間を行き来している。
次女(3)の妊娠中も妊娠糖尿病になった。
妊娠糖尿病は①肥満②両親や祖父母ら家族が糖尿病③35歳以上―などの女性がなりやすい。
中村さんはどれも該当しなかったために、最初の診断時は驚いた。
今は「おいしくて体によい食生活」を心がける。
家庭でのおやつや仕事で作るお菓子は、カロリーや糖質を抑えた材料に替えるなどしている。
妊娠糖尿病の経験は「おなかにいた娘たちが『ママは糖尿病に気をつけて』と教えてくれた」と前向きに考えている。
これからも生活習慣に気をつけ、定期検査を受け続けるつもりだ。
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