(山陽新聞 2023年6月14日の記事より引用)
●財源触れず 実効性疑問
政府は13日、「こども未来戦略方針」を決定した。
岸田文雄首相は第3子以降への児童手当拡充などで子育て世帯に成果をアピールするが、家族構成によっては支給額が増えない”からくり”も。
早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、「国民の追加負担ゼロ」を強調。
具体的な財源論には触れず、実効性に疑問符が付く。
「若年人口が急減する2030年代に入るまでが、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンス」。
13日夜の記者会見で、首相は何度も繰り返した。
●「第3子」注意
首相が年頭会見で「異次元の少子化対策」を打ち出してから半年。
政府はこの間、関係府省会議で政府のたたき台をまとめ、4月から首相をトップとする「こども未来戦略会議」で労使代表や子育て団体関係者らを交え、政策の優先順位と財源の在り方を議論してきた。
目玉に据えたのは「全ての子どもの育ちを支える」との理念に合致する児童手当の拡充。
戦略方針に①所得制限の撤廃②支給対象年齢を「高校生年代まで」に引き上げ③第3子以降は月額3万円に増額ーを明記した。
ただ「第3子以降は3万円」には注意が必要だ。
例えば3人きょうだいの場合、1番目の子どもが高校を卒業すれば、2番目が「第1子」、3番目が「第2子」として扱われ、第3子への加算が受け取れなくなる。
現行制度に沿ったもので、こども家庭庁幹部は「高校卒業後に働く人もいる。あくまで扶養する児童のための経済支援が趣旨だ」と説明する。
●選挙対策?
政府は支給対象年齢の引き上げに伴い、16~18歳の子どもがいる世帯の税負担を軽減している扶養控除についても、縮小を含めた見直しを検討する方針。
大学生の息子と高校2年生の娘を育てる群馬県高崎市の40代男性は「学費や子どもの交際費など、お金がかかるのは高校生になってから。支給年齢引き上げはありがたい」と感じる一方、扶養控除の撤廃を心配する。
「長い目で見れば税負担軽減のメリットの方が大きい。将来的に家計にマイナスになるのなら、今回の拡充も『選挙対策のばらまき』と思われても仕方がない」と話す。
日本総合研究所の池本美香上席主任研究員は「政府は聞こえの良い話だけを小出しにせず、当事者から見て具体的に何が変わるのかを示す必要がある」と指摘する。
●負の要素封印
政府は今後3年間に集中的に取り組む「加速化プラン」などに年3兆円台半ばの追加予算を見込む。
公的医療保険などの社会保険料に上乗せを想定する「支援金制度」を創設し、不足分はつなぎ国債で賄う方針だ。
しかし具体的な上乗せ額などは明らかにせず、高齢化に伴う保険料の伸びを歳出改革で圧縮すれば、上乗せ分を相殺できるとの説明に終始する。
「実質的に追加負担は生じさせないと言っているでしょ」。
官邸筋は13日、国民負担が増えるのではと尋ねる記者団に、語気を強めた。
早期の衆院解散・総選挙の可能性を念頭に、政権に負担増イメージが付くのを嫌っているのは間違いない。
首相は1月の国会答弁で早々と消費税増税の芽を否定。
最近は徹底した歳出削減などで賄うと繰り返し、社会保険料の上乗せには踏み込まない。
自民党関係者は「物価高にあえぐ国民が多い中『負担増』は禁句だ。
政権はマイナス要素を当面封印するのだろう」と見立てた。
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