(山陽新聞2020年10月17日の記事より引用)
本欄に書こうか、書くまいか。
迷う時点で無意識にタブー視しているとあらためて気付いた。
生理すなわち月経の話だ。
これをして女性を不浄とみなす文化や困習が世界中にある。
大っぴらに口にするのは恥ずべきこと、という感覚も国を問わずあるようだ。
ところが、新型コロナウイルスの影響で「生理の貧困」と呼ばれる社会問題が”表舞台”で盛んに語られ始めている。
主に経済的な制約からナプキンなどを入手できない状況を指す言葉である。
月に千円ほどだが、困窮する女性が先進国で増えており、数年前から対策が進められてきた。
英国では、生理用品を買えないために年間14万人近くが学校を休んでいることから、各自治体が女子児童・学生への無料配布に踏み切った。
韓国・ソウル市議会は18歳以下の全少女へ支給する条例を可決。
フランス政府も消費税を下げた。
米国では今月19日が「生理の日」に制定された。
食費を削っても十分に購入できない路上生活者の悩みを聞き、「生殖に欠かせない現象なのだから、男女みんなで話し合おう」と、きっかけとなる運動を始めたのは高校生だった。
国連女性機関の調査では、ここ半年、休校や失業で生理用品を得られなくなった女性が急増しているという。
「困っている」と言いづらい分野だからこそ、意識して支援の手を伸ばしたい。
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