(読売新聞 2019年3月21日の記事より引用)
●「似てない」 出産後の葛藤
桜が満開の東京・代々木公園。
仕事仲間が集まった2018年の花見は、東京都内の女性Eさん(47)にとって、1歳になった長男をお披露目する場でもあった。
「お子さんハーフっぽい。Eちゃんに似てないね」
酔った友人の言葉に、Eさんは顔をこわばらせた。
似ていないはずだ。
他人の卵子で産んだのだから。
「出産がゴールと思っていたけど、新たな葛藤のスタートだと実感しました」
16年にマレーシアに渡り、アジア系の若い女性の卵子をもらった。
それを夫の精子と体外受精させた受精卵で妊娠、17年1月に出産した。
20~30歳代は、歌手やタレントとして成功することを目指していたEさん。
アルバイトで生計を立てながら夢を追うのに忙しく、友人が出産したと聞いても気にならなかった。
39歳で結婚。
41歳で子宮頸がんを経験して気持ちが変わった。
幸い子宮の入り口を一部切除しただけで済んだ。
もっと進行していたら、子宮全摘は避けられなかった。
突然、強烈な感情がわき起こった。
「赤ちゃんが産みたい」
43歳で不妊治療を開始。
体外受精を4回したがうまくいかなかった。
年を重ねているためと考えられた。
妊娠の可能性が高い若い卵子を提供してもらおうと、海外での治療を選んだ。
第三者の卵子を使う不妊治療は、国内では1990年代後半からごく少数の医療機関が始めた。
卵巣の病気など医学的な理由で妊娠できない人に限られ、Eさんのように対象外の女性たちは近年、海外に渡るようになった。
妊娠中は不安もあったEさんだが、産声を上げる赤子を抱いたとき、もやもやは消えた。
世話に追われ充実感でいっぱいだった頃、新たな壁に突きあたった。
「子どもが似ていないと他人に言われる」という経験をした人は、卵子提供で子どもを産んだ母親の6割を占める。
社会学者で静岡大教授の白井千晶さんによるアンケート結果だ。
事実について、「友人には話せない」という人は8割を超えている。
Eさんは今年1月、自助グループ「みんなちがっていいんだよの会」を設立した。
海外ので不妊治療を受けた人は、孤立しがちだ。
ブログで自分の経験を公開し、似た境遇の人と語り合える場がほしかった。
「不妊治療が終わればハッピーエンド、じゃなかった。将来は子どもに卵子提供の事実を伝えるつもり。仲間と助け合いながら、いろいろな課題を乗り越えたい」。
Eさんはそう心に決めている。
☆病院では精子と卵子の出会いの距離を確実に近づけてくれます。
(人工授精・体外受精・顕微授精)
☆アオキ薬局では精子と卵子の質を上げて元気にしていきます!