(読売新聞 2023年1月29日の記事より引用)
●世界で98人
医学的な問題もある。
研究チームによると、子宮移植は、2000年にサウジアラビアで世界で初めて実施されたが、移植された子宮は定着しなかった。
移植後の出産は14年にスウェーデンで初めて成功。
その後、欧米を始め、さまざまな国で実施された。
22年10月までに世界で98人に子宮移植が行われたが、うち出産できたのは52人で5割程度だ。
大きな負担がかかるだけに、出産できなかった場合、本人・家族が大きなショックを受ける可能性もある。
また、妊娠に成功したとしても、妊娠中に強い免疫抑制剤を使用した場合、胎児に重大な影響が出る可能性も指摘されている。
生命倫理に詳しい斎藤有紀子・北里大准教授は「子宮移植が認められた場合、家庭内や周囲から、子宮を持たない女性に『子どもを産むべきだ』、母親ら家族に『子宮を提供すべきだ』といった圧力が増すことも懸念される。
当事者に対する説明や意思確認を丁寧に行う必要がある」と指摘している。
●精神サポート不可欠…体制の早期確立 専門家指摘
子宮がない女性と家族に対しては、精神的なサポートが欠かせない。
生まれつき子宮がない病気だと思春期に告知される衝撃は計り知れない。
家族の苦悩も大きく、母親が娘に対して負い目を感じてしまうようなケースもある。
だが、「現在は、こうした病気の当事者への配慮が著しく欠けている」と、日本医学会の子宮移植倫理に関する検討委員会は指摘している。
検討委の報告書によると、
〈1〉医師が直接本人に告知せず、母親に委ねて何も支援しなかった
〈2〉告知後に相談に乗ったり、相談できる医師やカウンセラーを紹介したりしなかった――
などの事例が少なくなかったという。
告知された当事者に寄り添う相談支援やカウンセリングなどがあれば、当事者が自分の体の状態や多様な生き方を冷静に考えられるようになる可能性がある。
子どもを持ちたいと考えたときにも、養子縁組など、子宮移植以外の選択肢も含めて話し合える。
検討委の委員長を務めた飯野正光・日本医学会副会長は「関係学会は、当事者家族への精神的な支援体制を早急に確立すべきだ」と訴える。
(医療部 小山内裕貴)
◆ 子宮移植
生まれつき子宮がなかったり、がんなどの病気で子宮を摘出したりした女性に、第三者から提供された子宮を移植し、妊娠・出産を目指す。
出産は帝王切開で行う。
慶大チームによると、子宮がない20~30歳代の女性は、国内に約6万人いると推定される。
胎児を育てる子宮の機能は閉経後も残るため、中高年でも提供者となりうる。
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