●長女がダウン症 悩んだ末
「産みますか。それともあきらめますか…」
川崎市の会社員C子さん(42)は2008年、究極の選択を迫られた。
妊娠17週に産婦人科の病院で受けた羊水検査で、おなかの赤ちゃんにダウン症があると診断されたからだ。
「赤ちゃんの顔が見える」と楽しみに受けた妊婦健診のエコー検査で、思いも寄らぬダウン症の疑いを指摘されたのがきっかけだった。
C子さんには、2007年に出産したダウン症の長女(10)がいる。
出産直後は「障害のある子を育てられるか」と不安もあったが、愛くるしい寝顔を見ると、生まれてくれたことがうれしかった。
障害のある長女が幸せな人生を送れること。
それが夫婦の生きる目標になった。
それだけに、次は、自分たち親亡き後、長女が困った時に助けてくれる子がほしいと思っていた。
おなかを蹴るなど胎動はすでに感じていた。
C子さんは悩んだ末、赤ちゃんはあきらめることにした。
「ダウン症のある子2人を育てる自信をもてなかった」と振り返る。
長女を産むまでに2度の流産もあった。
ダウン症のある子を続けて宿した理由も含め探ろうと、夫婦で検査を受けると、一部の染色体同士がくっつく「ロバートソン転座」と呼ばれる異常が夫にあることが判明した。
健康上の問題はないが、流産したり、ダウン症の子を妊娠したりする確率が高まる。
2人目、3人目の子どもをどうすればいいのか。
夫と思い悩んだ末にたどり着いたのが、体外受精による受精卵のすべての染色体を検査し、異常のないものだけを子宮に戻す着床前スクリーニング(PGS)だった。
流産につながる転座も併せて調べられるという。
実施している神戸市の大谷レディスクリニックを11年7月に訪ねた。
受精卵17個のうち5個は、染色体に異常はなかった。
凍結した受精卵を子宮に順次戻し、13年に次女(4)、14年に三女(3)を出産した。
小学校の特別支援学級に通っている長女は算数が好きで、ダンスにも挑戦するがんばり屋だ。
あきらめた赤ちゃんの骨は今も、自宅の仏壇に置いてある。
自分が死んだ時、お墓に一緒に入れるつもりだ。
「私にできるしょく罪は、子ども3人を愛し育てること」とC子さん。
ダウン症のある子の排除につながりかねないPGSには複雑な思いを抱く。
「それでも、PGSは、流産を繰り返したり、体外受精が何度もうまくいかなかったりする人を助ける技術で中絶を伴わない利点もある。不妊治療に悩む人に限って、認められるべきではないでしょうか」
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