産み育てやすい社会へ・№2          2019年 2月21日



(読売新聞 2019年1月21日の記事より引用)

少子化が止まらない日本。
子どもを産み、育てやすい社会にするには、どんな支えや心構えが必要なのか。
子育て中の母親、父親、支援する専門家といったそれぞれの立場から、思いを語ってもらった。


●放送作家 鈴木おさむさん

長男が生まれて1年間、育児のために放送作家の仕事を休みました。
2015年から16年にかけてです。
エッセーなどを書く仕事は続けましたが、日中が暇になったので、息子の世話をしたり、家族の食事を作ったりしました。

お笑い芸人の妻は、2回の流産を経験し、35歳で出産しました。
妊娠の半年ほど前には、「妊活休業」を宣言。
仕事でお世話になっているテレビ局の人たちは、いつ戻るかわからないのに、快く妻を送り出してくれた。

僕が仕事を休んだ一番の理由は、妻を早く復帰させたかったからです。
1年間休んでわかったのは、自分の胸に抱っこしている時間が長いほど、子どもはなつくということ。


お母さんの胸がベッドだとしたら、男の胸でもソファぐらいにはなる。
妻が楽というより、子どもとの距離感が縮まったのは、自分にとって大きなプラスでした。

妻が産後半年で復職すると、週2回、テレビ番組の収録の間、僕は息子と2人きり。
妻も最初は不安で何度も電話をかけてきましたが、大丈夫とわかると信頼してくれた。
夫が育児に参加するには、妻も忍耐のストライクゾーンを広げて任せないとうまくいかない。

子育てで失ったものもありました。
休んでクビになった番組もあったし、飲み会を欠席すれば、一つ仕事をなくすこともある。

ただ、僕の仕事は、日々の出来事がネタになるから、マイナスばかりではなかった。

一般男性が育児休業を取れば収入が減り、出世できなくなるかもしれない。
それを奥さんが「いいじゃないの」と言えるかどうか。
夫が何かを捨てたことを、奥さんが認めてくれることが重要です。

今の少子化の背景には、医療技術の進歩で高齢になっても出産できるという考え方が広まったこともあります。

僕らも遅かったし、遅くに授かるのもすばらしいけれど、「後回しにするより先の方がいい」と考える人が増えれることも、必要かもしれません。




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