●患者の選択に向き合う
(読売新聞 2017年9月28日の記事より引用)
「大切なお話をします。しっかりと聞いてくださいね」
2016年3月、京都府立医科大学病院(京都市)の診察室。
小児科医の柳生茂希さんは、関西地方に住む当時中学1年のA子さん(14)に優しい口調で語りかけた。
A子さんはこの1か月前、自宅近くの医療機関で悪性の軟部肉腫と診断された。
数万人に1人起きるというまれながんだ。
会社員の母親(36)は、娘には病名を告げず、この医療機関から紹介された同病院を訪ねることにした。
小児がんに詳しい医師から直接、A子さんに説明してもらいたいと思ったからだ。
柳生さんはまず、A子さんに病名を告知した。
さらに、抗がん剤治療の影響で将来、赤ちゃんを妊娠できなくなる可能性があること、それを防ぐために研究段階ながら卵巣の凍結保存という選択肢があることを、中学生のA子さんでもわかる言葉で説明した。
A子さんのような小児がん患者の場合、妊娠する能力の温存には「インフォームド・アセント」が求められる。
インフォームド・アセントは、保護者から治療の同意(インフォームド・コンセント)を得るだけでなく、当事者である子どもにも年齢に応じた説明をし、同意を得ることをいう。
子どもでも、治療法の選択に必要な情報を医師から受ける権利があるという考えからだ。
A子さんは生理も始まっていなかったが、柳生さんから説明を聞き、「妊娠する可能性を残したい」卵子の保存を決めた。
A子さんは、腹腔鏡と呼ばれる内視鏡による手術で卵巣を取り出し、凍結保存してもらった。
保険はきかず費用は約50万円かかった。
その後、同大学病院に入院し、抗がん剤治療を受けながら院内学級で勉強する生活に入った。
約8か月後に退院し、中学3年になった今は元気に学校に通っている。
A子さんは「将来の夢は看護師。赤ちゃんを産んで育てながら、病気で困っている人の助けになりたい」と目を輝かせる。
母親は「卵巣を保存していなければ、私も娘もいずれ後悔したと思う。娘にも理解できるよう、説明してもらってよかった」と感謝する。
日本癌治療学会が7月にまとめた指針では、思春期前の男児を除き、小児がん患者にも妊娠する能力を残す方法があることを明記。
中学校の過程を終えていない16歳未満の患者でも、親からの同意だけでなく、年齢に応じた説明をし、本人の同意を得ることが望ましいとした。
指針作りに携わった同大小児科教授の細井創さんは「患者が子どもでも、医師と親の判断で治療法をすべて決めていいわけではないことを知ってほしい」と話している。
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