●不妊治療のやめ時は?
(読売新聞2016年5月31日の記事より抜粋)
日本産科婦人科学会によると、2013年に実施された体外受精など高度な不妊治療数は約37万件。
晩婚や晩産などを背景に、03年(約10万件)の約3.7倍となった。
女性の年齢別では40歳が最多で約3万3500件。
だが、無事に出産できた割合(分娩率)は8.3%にとどまる。
不妊治療は精神面にも肉体的にも経済的にも負担が大きいだけに、結果が出なければ、いずれやめ時を考えざるを得ない。
東京都のパート女性(51)は34歳で結婚、36歳から10年間、治療した。
「月経周期が乱れ始め、体の限界を感じてやめた」と振り返る。
1000万円を投じ、体外受精を20回以上受けたという埼玉県の主婦(47)は、「貯金を失い、お金の工面に困ったのが一番の理由」と話す。
東日本大震災で地震や原発の怖さを知り、出産や育児への自信は揺らいだことや、父親の介護が始まったことも重なった。
「でも、子どもを持てない寂しさはずっと消えない」と打ち明ける。
不妊治療専門の「はらメディカルクリニック」(東京都渋谷区)院長の原利夫さんは、「生理が来るうちは『可能性がまだあるのではないか』と、治療を諦められない人が多い」と指摘する。
同クリニックは治療中の女性らを対象に「42歳からの妊活教室」を開いている。
高齢での妊娠、出産のリスクや不妊治療に対する国の助成が42歳で打ち切られることなどを説明し、終結を視野に入れた治療を促す。
44歳になった女性には、妊娠がより難しく、出産リスクも高まることから「あと1年宣言」をさせ、基礎体温を日々記録するよう助言する。
排卵がなくなっていることやホルモンの乱れなどに気づき、現実を直視しやすくなるという。
「治療終結には、治療面と精神面でやりきった感が必要。正しい情報を提供し、終結に寄り添うのも医師の責任だ」と原さんは話す。
№3では続きをご紹介します。
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