(読売新聞 2017年8月24日の記事より引用)
●1人診療所 母子に障害
介護用車いすに乗った母子が7月末、報道陣の前に姿を見せた。
ロシア出身のエバセエバ・エレナさん(40)と長女、みゆきちゃん(4)だ。
車いすが入れるエレベーターを備えた京都市内の福祉施設を会場に、開かれた記者会見。
「ありのままを見てほしい」実母のボイコ・リュボビさん(63)と日本人の夫(55)の希望で実現した。
今春以降、大阪、兵庫、京都で、出産の痛みを和らげる無痛分娩を巡る事故が次々に発覚したのがきっかけだ。
5年前、無痛分娩の麻酔後に容体が急変。
母子ともに脳に重い障害を負った。
エレナさんは話すこと起き上がることもできない。
今なお目覚めぬ長女は人工呼吸器につながれている。
エレナさんは約20年前に来日。
2008年、結婚した。
異国での初産が不安で里帰りも考えたが、「夫のそばで産む」と決めた。
出産の場所に選んだのは京都府京田辺市の「ふるき産婦人科」。
産科医1人で運営し、無痛分娩を売りにしていた。
ロシアを含め欧米では、緊急時の備えのある総合病院で産むのが一般的。
医師でもあるリュボビさんは大病院を勧めたが、気持ちは変わらなかった。
出産の日。
エレナさんは、「ちょっと待っててね」と夫に言い残し、分娩室に入った。
程なくして「意識がない。大変なことになった」と告げられた。
救急車で病院に搬送され、みゆきちゃんはそこで生まれた。
「硬膜外麻酔」のため背中に刺した管から麻酔薬を入れた際、誤って脊髄近くまで入り込んで呼吸が停止。
低酸素状態が続いたのが脳障害の原因とみられる。
娘と孫を介護するため、医師の仕事を辞めて来日したリュビボさん。
蘇生処置は適切に行われたのか、もっと早く救急搬送できたのではないかー。
経緯が明らかになるにつれ、日本の産科医療体制に問題を感じた。
実名で報道陣に訴えたのは、同様の事故を繰り返してはならないとの思いからだ。
「1人の産科医しかいない医院に、お産をする許可を与えないでください。産科医、小児科医、新生児科医、救急医のそろったところで行うべきです」
日本では、半数近い出産を診療所が担う現実がある。
医師が1人の診療所は減りつつあるというが、小規模な医療機関が乱立する現状を一気に変えるのは難しい。
母子の安全のために、何が必要なのか。
対策を検討する厚生労働省研究班の議論が23日、スタートした。
一家の悲痛な叫びにどう応えるのかが問われている。
☆病院では精子と卵子の出会いの距離を確実に近づけてくれます。
(人工授精・体外受精・顕微授精)
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