精子・卵子保存 高額費用の壁・№1      2019年12月10日


(読売新聞2019年7月24日の記事より引用)

●AYA世代のがん治療と不妊

競泳の池江璃花子さん(19)が白血病を公表したことで、AYA世代のがんに関心が高まっている。
治療の影響で妊娠が難しくなる場合、精子や卵子を事前に凍結保存する選択肢があるが、情報や支援の不足、高額な費用などの課題が横たわっている。

「つらい治療を乗り越えるための希望でした」。
若年性乳がん患者を支援する「ピンクリング」代表の御船美絵さん(40)(東京都江戸川区)は、がん治療前に凍結保存していた受精卵について振り返る。

乳がんを告知されたのは2010年秋。
結婚式の2週間前だった。
私は死ぬのかな。
結婚はもうダメかな。
目の前が真っ暗になり、診察室を出ると声を上げて泣いた。

その日に婚約者に病気を伝えた。
「結婚しなくてもいいんだよ」。
すると「大丈夫。一緒に乗り越えよう」という返事。
式は予定通り行ったが、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


左胸の摘出手術を受けたのは挙式の1ヵ月後。
その後も、女性ホルモンの働きを抑え、がんの再発を防ぐホルモン療法を5年間続けることになっていたが、子どもをを将来、産むことができるのか心配になった。

抗がん剤や放射線によるがん治療と違い、ホルモン療法は精巣や卵巣にダメージを与え、生殖機能を低下させることはない。
ただ、治療後は30歳代後半。
妊娠しづらくなる恐れがある。

主治医に相談すると、受精卵や卵子の凍結保存提案された。
治療後に妊娠する可能性を高められるという。
一方、卵子を確保するために使う排卵誘発剤は、がんを活性化させる恐れもある。
ホルモン療法が始まる3週間後が回答期限。
同じ境遇を経験した人に相談したいが見つからない。

悩んでいると、「がんが治った後の人生も考えて」と主治医に言われた。
「治療を終えたら、子どものいる未来をともに歩みたい」
との思いが強くなり、凍結保存する決意を固めた。

16年春にホルモン療法が終了。
その後、流産を一度経験したが、18年2月に妊娠がわかり、10月に女の子を出産した。
「やっと会えた。この子の人生をずっとそばで見守りたい」

現在はピンクリングの代表として、AYA世代のがん患者の相談にのる。
妊娠する可能性を残すことを医療者から説明されなかったり、周囲の支援が十分でなかったりするケースが目立つ。
「治療で不妊になるリスクについて医療者と十分に話し合い、納得して選択することが重要」と語る。


高松市の後藤千栄さん(41)は高校2年生だった1995年、骨髄異形性症候群と診断された。
血液がうまく造れないがんだが、目立った症状はなく経過観察となった。
体調が悪化したのは2009年。
骨髄移植が必要だと言われた。

当時32歳。
骨髄移植は卵巣機能にダメージを与え、妊娠できなくなる恐れがある。
医師の提案で卵子を凍結保存した。
費用は約50万円。
両親に相談し、なんとか捻出することができた。

移植を受け、今は会社員として元気に働く。
独身だが、パートナーができたら子どもがほしい。
後藤さんは「若い時は一般的に所得が低い。妊娠・出産を希望すれば費用の心配をせず、誰もが可能性を残せるようにしてほしい」と訴える。

№2では「AYA世代について」と、「公的助成・情報提供が不可欠」についてご紹介します。




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