(読売新聞 2019年3月21日の記事より引用)
●卵子提供 NPOが仲介
近畿地方に住む主婦Cさん(42)には、会社員の夫(40)との間に9ヵ月の娘がいる。
「おなかを痛めて産んだ、たった一人のわが子」。
ただし、Cさんと娘に遺伝上のつながりはない。
Cさんは子どもの頃、病気で卵巣の一部を摘出した。
結婚して詳しい検査を受けると、やはり自分の卵子で妊娠するのは難しいとわかった。
あきらめていた時、OD-NET(神戸市)を知った。
匿名の第三者による卵子提供を仲介するNPO法人で、2013年に設立された。
「せめて夫の遺伝子を受け継いだ子どもがほしい」
CさんはすぐにOD-NETに登録。
3年後、提供者が見つかった。
その卵子と夫の精子を体外受精した受精卵で妊娠、出産した。
Cさんは「娘には少しずつ、卵子提供で生まれたよいうことを伝えながら、育てていきたい」と話す。
第三者の卵子を使う不妊治療は、日本では1990年代後半、親族や友人の提供により、一部の医療機関が始めた。
匿名の提供者の卵子を仲介するのは、OD-NETが初めてだ。
第三者は介在する生殖補助医療は、家族の複雑化につながる。
こうした場合の親子関係を定めた法律はなく、生殖医療補助それ自体、法的な裏付けがない。
厚生労働省の審議会が2003年、第三者の卵子提供を容認する報告書を出したが、法制化は実現しなかった。
OD-NETの仲介で、これまでに4人が生まれた。
生まれた子どもが15歳になった時、本人が希望すれば提供者の氏名や連絡先を伝えることがOD-NETのルールだ。
「私が提供した卵子で生まれた人が会いに来ても、たぶん自分の子どもとは思えない。でも健康に、幸せに育ってほしい」
数年前、別の夫婦に卵子を提供した山陽地方の看護師Dさん(39)は話す。
Dさんの長女は、病気のため自分の卵子では妊娠が難しい。
「身近に当事者がいるから、卵子提供を望む人の役に立ちたかった」という。
善意の提供希望者は現在283人に上る。
しかし、提供には通院の負担が伴う。
カウンセリングや血液検査、採卵のために計10回前後。
協力するクリニックで行うが、わずか3か所しかない。
このため、登録しても、断念する人は多い。
法整備の遅れが、医療機関が協力に二の足を踏む要因とみられる。
家族法に詳しい立命館大教授の二宮周平さんは「法的にグレーな状態に置かれていることが、当事者を苦しめる結果になりかねない。法整備が、提供者の善意を生かし、この技術でしか子を持てない人を救うことにつながる」と指摘する。
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