●子宮内膜症についてのお話
倉敷成人病センター産婦人科主任部長 太田 啓明
(山陽新聞 2016年10月17日の記事より引用)
まず「進行性・慢性疾患」。
生理の度に徐々に悪化していきますが、慢性ですから放っておいても決して治ることがありません。
10代からお腹の中にできて、月経の度に痛みを出しながら、ゆっくりと進行していきます。
ただ子宮がん検診で見つけることはできません。
この病気の本体は、ほくろくらいの大きさで、子宮ではなく、腸や子宮・卵巣の表面の腹膜にあります。
腹腔鏡で直接覗かない限り、超音波検査でも見つけることはできません。
そして、進行すると腸や卵巣、卵管、尿管といったお腹の中の大切な臓器をくっつけていき、機能障害を起こすのです。
臓器がくっついてしまう「癒着」はMRI検査でもなかなか見つからないのですが、これは癌と同じように怖いことで、腸を切除したり、腎臓を全くダメにしたり、もう一つの特徴である「不妊」を引き起こしたりします。
ひどくなると卵巣が腫れてきたり、子宮が変形、肥大してきてMRI検査でもわかるようになります。
子宮内膜症が重症化し、ホルモン療法で痛みが取れない場合や癌化のリスクが考えられる場合には手術療法が必要になります。
子宮内膜症への手術は腹腔鏡手術が行われています。
腹腔鏡手術は傷が小さく早期の社会復帰が可能なだけではなく、手術自体による癒着も少なく将来の妊娠に対して有利です。
また開腹手術に比べ、拡大してみることができ、子宮内膜症病変をよりきれいにとることが可能です。
当院では昨年腹腔鏡手術を1300件行っていますが、子宮内膜症に対する手術は約4分の1を占め、いかに子宮内膜症が現在増えているかがおわかりになると思います。
ここで重要なのは残念ながら子宮内膜症は手術だけでは完治しません、術後もホルモン療法を継続することにより再発を防ぐことができます。
再発による再手術は卵巣機能の低下や周辺臓器損傷のリスクが高まります。
そこで術後も妊娠を望む時まで、または閉経時までしっかりホルモン療法を行うことが大切です。
№3では続きをご紹介します。
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