(読売新聞 2023年1月29日の記事より引用)
●臨床研究、慶大近く審査 出産率5割 体に重い負担
日本初となる子宮移植の臨床研究について、慶応大の学内審査が近く始まる。
海外の実施例をみると、体に負担をかけて移植しても、出産できたのは5割程度。
出産を望む子宮がない女性や家族から期待の声が上がる一方、倫理的・医学的な課題も指摘されている。(医療部 加納昭彦、西田真奈美)
●選択肢望む声
慶大の研究計画では、生まれつき子宮がない「ロキタンスキー症候群」の患者らの中から、出産を希望する20~30代女性3人を公募する。
夫がいることが条件で、子宮提供者(ドナー)は母親など親族に限る。
まず、患者の卵巣から採取した卵子と、夫の精子を体外受精させる。
そのうえで、ドナーから手術で摘出した子宮を患者に移植。
子宮が定着したら受精卵を入れ、妊娠・出産を目指す。
子宮移植を巡っては、日本医学会の検討委員会が2021年、ドナーの意思を丁寧に確認することなどを条件に少人数に限って臨床研究としての実施を容認した。
こうした経緯を踏まえ、慶大の研究チームは昨年11月、学内の審査委員会に臨床研究を申請していた。
審査は、数か月で承認される例があるが、1年以上かかる場合もある。
研究チームによると、ロキタンスキー症候群の患者は4500人に1人とされる。
国内では、学会の指針で代理出産も認められていない中、この病気の大阪府の会社員女性(33)は「子宮がない女性誰もが移植を選ぶとは思わないが、子どもを授かる選択肢を作ってほしい」と期待する。
●手術リスク
学内審査の焦点の一つは、本人やドナーの身体的負担をどう考えるかだ。
子宮移植は、臓器移植法の対象外で、心臓などの他の臓器移植とは異なり、救命や重い症状の改善を目的としたものではない。その一方で、健康なドナーに手術のリスクを負わせる。
海外の報告によると、摘出手術は平均8時間以上かかり、約500ミリ・リットルの多量出血を伴う。
子宮提供を受ける女性にもリスクはある。
移植した子宮が体内にある間は免疫抑制剤を飲み続けるので、感染症への注意が必要だ。このため、出産したら再度手術して子宮を摘出する。
高額な費用も課題だ。
研究計画では、移植手術や体外受精などにかかる費用は1件あたり約2000万円。
研究費で負担する部分もあるが、患者も数百万円を自己負担する必要があるという。
研究チームの木須伊織・産婦人科助教は
「子宮がなく、出産を望む女性に子宮移植が福音となることを願うが、患者や提供者には負担がかかる。慎重に計画を進めたい」と話す。
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