新型出生前検査・№2              2019年 9月28日



(読売新聞 2019年5月20日の記事より引用)

●普及には倫理的課題

<21トリソミー 陽性>

新型出生前検査の結果通知は、そう書かれた紙1枚だけだった。

2017年秋のこと。
受け取った神奈川県内のAさん(38)はその少し前、ネットで見つけたクリニックで検査を受けていた。
おなかの中の子には、ダウン症の疑いがあるという。

「うそでしょ」

説明文も問い合わせ先もない。
何をすべきかわからず、ベッドに身を投げ出した。
不妊治療の末、36歳でかなった妊娠。
「うちの子は健康に生まれるはず」。
根拠もなく思い込んでいた。
検査は、安心の裏付けがほしくて受けた。


従来の出生前検査は、おなかに針を刺して羊水を調べるなどリスクのあるものや、方法は簡単でも精度の低いものだった。
新型検査は、採血だけでしかも高精度。
確定には羊水検査のような詳しい検査がいるが、新型でも8,9割は正しく判定できる。

胎児の障害がわかるという重い検査が簡単にできるだけに、普及には倫理的な課題がある。
陽性が確定すれば、人工妊娠中絶につながりやすいからだ。

Aさんは当時、通院していた産婦人科の医師には、検査のことを言い出せなかった。
「どうせ陰性だし、こっそり受けよう」。
ネットで検査を宣伝するクリニックに出かけた。

新型検査に法規制はない。
無秩序な拡大を抑えようと、日本産科婦人科学会は厳しい条件を設け、それを満たす医療機関を認定するのが唯一のルール。
遺伝の専門家による説明など手厚い体制で重い決断を支えるのが建前だ。
しかも強制力はなく、認定外で検査を手がける医療機関もある。

「陽性」と書かれた紙が届いてから、Aさんは大学病院で確定検査を受けた。
結果が出るまでの約2週間、食事ものどを通らなかった。

「お金や時間をかけてつらい不妊治療を乗り越えてきた。なのにどうして」。
そんな思いにとらわれた。
育てる大変さ、親が死んだあとに子どもはどうなるのか。
不安でいっぱいで、現実が受け入れ難かった。

最終的な検査の結果、胎児はダウン症ではなかった。
安堵と後悔が胸に押し寄せてきて、泣き崩れた。
「私は、検査の意味を理解できていなかった。直面して初めて、安易に受けてしまったとわかりました」


新型検査は完璧ではない。
陰性でも陽性と出る「偽陽性」や、その逆もある。
正しい情報を知り、しっかりと考えることが大切だ。

学会は近く、医療機関の認定条件を緩和する。
これまでは大病院ばかり約90か所だった認定先は、産婦人科医1人のクリニックにまで広がる。
学会幹部は「検査をしやすくし、妊婦が認定外に流れるのを食い止める」と狙いを語る。
このことが改善につながるのか、先行きは見えない。




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