体外受精、生殖補助医療の現状・№3       2016年11月 1日


②治療の流れ
(山陽新聞 2016年5月2日の記事より引用)

▽採卵までの調節卵胞刺激法

卵巣には10万個ほどの卵子が卵胞の中にあります。
自然では複雑な仕組みでこの中から毎月1個の卵胞だけが成熟して排卵されます。
下垂体が分泌する卵胞刺激ホルモン(FSH)がその主役で、月経開始直前に上昇し、卵胞1個が発育を開始したら下降し、他の出遅れた卵胞は発育できなくなります。



一方、体外受精では多数の卵子を得た方が1回の採卵で出産に至る可能性が高くなり、有利です。

この目的でFSH製剤を注射し、自然よりも数倍高い状態を保ちます。
ペン型の自己注射製品が発売されており、自宅で注射が可能です。

このFSHを月経3日目から毎日1回、約1週間注射すると10個程度の卵胞が発育します。

採卵の前に排卵してしまうと卵子を得られないので、排卵の引き金となるLH(下垂体ホルモン)分泌を止めてしまう薬も同時に使います。

これにはGnRH作働薬を月経開始前から使用するロング法、開始後からのショート法、拮抗薬を使用するアンタゴニスト法などがあります。


FSH自己注射を5、6回したら経腟超音波とホルモン検査をし、卵胞の発育状況を把握して採卵日を決めます。

採卵時刻から逆算して36時間前(採卵2日前の夜)にヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を注射します。

これにより、卵子が減数分裂して染色体が半数になり、精子を受け入れて受精できる準備が整います。

同時に卵子が卵胞壁からはがれやすくなり、採卵が可能になります。

hCG注射日の卵胞は直径約20㎜に膨張しており多数が卵巣の中でひしめき合い、卵巣全体が「ぶどう一房」の感じになります。



◇ 倉敷成人病センター(086―422―2111)

もとやま・ひろあき 広島大付属福山高、岡山大医学部卒。岡山大医学部付属病院、高知県立中央病院、岡山赤十字病院など経て1981年から現職。2015年末までにARTにより2082人が分娩。日本産科婦人科学会専門医。

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

続きは№4でご紹介します。



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