基礎体温について

基礎体温表を元に、生理前の状態や生理の状態をお聞ききし、一人一人の体質や症状に合わせて使う漢方薬が変わってきます。

基礎体温とは、6時間以上の睡眠の後、寝起き一番の体温を、静止した状態で測定した体温のことです。
基礎体温表には、基礎体温の他に、月経期間やおりものの状態、風邪などの病気の記録、薬の服用、性交渉の有無などを記録していきます。
基礎体温からは身体の状態が実によく読み取れ、不妊だけでなく、身体のバランスを整えるのにとても役立ちます。

女性の基礎体温には個人差がありますが、まずベストは28日周期で生理があり、低温期と高温期のきれいな2層になっていること。しかし、基礎体温表がきれいに2層化しなくては妊娠できないという事ではありません。

あなたはどのタイプ? いろいろな基礎体温表

①正常な基礎体温の波形

■高温期が12~14日ほど持続
■高温期が37度近くまで上がり、低温期との差が0.3度以上あること(できれば0.5度)
■低温期から高温期に2~3日で移行するのが理想(グラフの上りがしっかりしているほど良い)
■生理期間は1週間で出血量も3~4日はしっかりある


考察:本来このパターンは一番できやすい方です。問題は卵子の若さと精子の元気、特に男性側に原因が傾いていると考えられます。男性の体の疲れをとり精子を元気にする漢方、精子の材料になる栄養剤がいいでしょう。



②低温から高温期への移行が遅い、または高温期が短い(高温期が36.7度を超えない)

■低温期から高温期へは1~2日で上がるのが理想だが、3日以上かかって上がり排卵日がわから
 ない(排卵がスムーズじゃない)
■低温期が長く、高温期が短い(10日未満)


考察:このパターンで分かることは、高温期にいっきに体温を上げる力が「冷え」や「陽虚」のため不足しているという事が考えられます。血虚や陽虚といい、血の不足により卵子の成熟が悪く、排卵が遅れ、その結果黄体ホルモンの分泌が悪くなります。東洋医学的には、卵胞発育不全、黄体機能不全、軽度の排卵障害などが考えられます。プロラクチンというホルモンが高く排卵に障害が起きている可能性もあります。陽気を補い、体を温め、血や陽気を改善する漢方薬の服用をおすすめします。また、生理前にお腹や胸が張るなどの強い症状のある場合は、漢方的には疏泄不足が考えられます。気滞を改善する漢方処方の併用が早い効果を生みます。                                  



③高温期が安定しない

■高温期を保ちきれず、途中で一時的に体温が低下する
■高温期に低温が混じる
■排卵しているが、黄体機能不全で妊娠しても流産しやすくなる


考察:高温期が持続しない体質的な問題を弁証します。たくさんの原因が考えられますが、その一つに黄体機能不全があります。黄体機能不全は、黄体の機能が低下して、黄体を持続するホルモン(=妊娠を持続するホルモン)の血中濃度が下がることをいい、これは高温期を持続するホルモンでもあるので、高温期を安定させるには、体を温め補陽する漢方や補腎薬を服用します。体の中が冷えていても自覚のない人もいます。日頃の食養生やゆっくりお風呂に浸かるなどの習慣がとても大切です。他にも湿を抱えている方、睡眠時間が一定でない方などに合わせた処方が考えられます。無排卵の可能性もあります。これも漢方薬で改善した経験があります。



④体温の変動が激しくギザギザの波形

■基礎体温の変動が激しく、ギザギザの波形となる
■高温期と低温期の安定が悪い
■高プロラクチン血症の可能性あり
■体温を測る時間が同時刻でない場合もあり


考察:ストレスが多く、自律神経が不安定な方に多いタイプ。東洋医学では高プロラクチン血症、月経前緊張症候群、自律神経失調症などが考えられます。漢方的には虚実交錯、寒熱交錯が一番の原因です。非常に難しい漢方用語ですが、肝痰の気の流れ、腎の陰陽のバランス、脾の陽気がアップすると一気に変化します。



⑤一相性で体温差が生じない

■高温期、低温期の差がない
■無排卵型に近い


考察:無排卵月経の疑いがあります。東洋医学では卵巣機能不全、多のう胞卵巣、高プロラクチン血症などが考えられ、ピルや排卵誘発剤などの治療になります。西洋医学ではひどい冷え症、水毒型、血虚型、胃腸の機能の低下型が考えられます。ホルモンの流れを整える漢方薬や、脳下垂体からのホルモン分泌を良くする漢方の服用をおすすめします。補腎薬が効果的な場合もあります。水を絞る漢方が早い場合もあります。一般的に体の腺の極端に細い方に多く、漢方薬と栄養剤の併用が早い結果をだしています。